SONY「ワーグナー・グレイト・レコーディングズ」CD33&34の感想


「メルヒオール&トローベル ワーグナー・アリア集」
①歌劇「リエンツィ」より「全能の父よ、見そなわせたまえ」
  ラウリッツ・メルヒオール(T)
  エーリヒ・ラインスドルフ指揮コロンビア・オペラ管弦楽団
  録音: 1942年
②歌劇「ローエングリン」より「寂しい日々に神に祈った」
  ヘレン・トローベル(Sp)
  アルトゥール・ロジンスキ指揮ニューヨーク・フィルハーモニック
  録音: 1945年
③④歌劇「ローエングリン」より
 「ありがとう、私の白鳥よ」「私の勇士!私の騎士!」
   ラウリッツ・メルヒオール(T)  
   エーリヒ・ラインスドルフ指揮コロンビア交響楽団
   録音: 1942年
⑤歌劇「ローエングリン」より
 「そよ風よ、わたしの嘆きを聞いておくれ」
  ヘレン・トローベル(Sp)
  エルンスト・クノッホ指揮 メトロポリタン歌劇場管弦楽団
  録音: 1945年
⑥歌劇「ローエングリン」より「寝室の場」
  ヘレン・トローベル(Sp)  
  アルトゥール・ロジンスキ指揮ニューヨーク・フィルハーモニック
  録音: 1945年
⑦⑧楽劇「トリスタンとイゾルデ」より
 「第1幕への前奏曲」、第1幕第3場より「タントリスの歌」
  ヘレン・トローベル(Sp)
  アルトゥール・ロジンスキ指揮ニューヨーク・フィルハーモニック
  録音: 1945年
⑨楽劇「トリスタンとイゾルデ」より
 第2幕第2場「降り来よ、愛の夜よ」
  ヘレン・トローベル(Sp)  
  フリッツ・ブッシュ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団
  録音: 1947年
⑩楽劇「トリスタンとイゾルデ」より
 第2幕第3場「王よ、それはことばで説明しようもないこと」
  ラウリッツ・メルヒオール(T)  
  エーリヒ・ラインスドルフ指揮コロンビア・オペラ管弦楽団
  録音: 1942年
⑪楽劇「トリスタンとイゾルデ」より「第3幕への前奏曲」
  アルトゥール・ロジンスキ指揮ニューヨーク・フィルハーモニック
  録音: 1945年
⑫楽劇「トリスタンとイゾルデ」より
 第3幕第1場「昔ながらの調べ」
  ラウリッツ・メルヒオール(T)
  エーリヒ・ラインスドルフ指揮 コロンビア・オペラ管弦楽団
  録音: 1942/43年
⑬楽劇「トリスタンとイゾルデ」より
 第3幕第2場「おお、この太陽の」
  ラウリッツ・メルヒオール(T)  
  ロベルト・キンスキー指揮コロン歌劇場管弦楽団
  録音: 1943年
⑭楽劇「トリスタンとイゾルデ」より第3幕第4場「愛の死」
  ヘレン・トローベル(Sp)  
  アルトゥール・ロジンスキ指揮ニューヨーク・フィルハーモニック
  録音: 1945年
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ラウリッツ・メルヒオールとヘレン・トローベルの二人の録音を中心に構成されたワーグナー・アリア集だが、この両歌手が直接共演しての録音は含まれておらず、メルヒオールの方は1942年から43年、トローベルの方は45年と47年にそれぞれ個別に収録された録音を交互に配置する形を取っている。このため、③と④でエルザを歌っているのはアストリッド・ヴァルナイだし、逆に⑥でローエングリンを歌っているのはクルト・バウムという具合に、少々ややこしいことになっている。ここでの両者の歌唱を聴くと、持ち前のスケール感のある伸びやかな歌いぶりが印象的なメルヒオールに対し、トローベルはフラグスタートやヴァルナイのような重厚さやスケールの豊かさというよりは、むしろ高音の澄んだ美声を活かした訴えかけの強さが魅力的なドラマティック・ソプラノというべきか。

SONY「ワーグナー・グレイト・レコーディングズ」CD31の感想


「フラグスタート ワーグナー・アリア集」
①楽劇「トリスタンとイゾルデ」より
 第3幕「優しくかすかな彼のほほえみ(愛の死)」
②歌劇「ローエングリン」より
 「おごそかな広間よ、ふたたび挨拶を送る」
③歌劇「パルジファル」より
 「幼子があなたの母親の胸に抱かれているのを見た」
④楽劇「ワルキューレ」より「あなたこそ春なのです」
⑤楽劇「ワルキューレ」より「ホー・ヨー・トー・ホー」
⑥楽劇「神々の黄昏」より「高貴なる戦士よ、新たな証を」
⑦楽劇「神々の黄昏」より
 「ラインの岸に焚き木の山を積み(ブリュンヒルデの自己犠牲)」
 キルステン・フラグスタート(Sp)
 ラウリッツ・メルヒオール(T)
 ①ドウィン・マッカーサー指揮サンフランシスコ歌劇場管弦楽団
 録音: 1939年
 ②④ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団
 録音: 1937年
 ③エドウィン・マッカーサー指揮ビクター交響楽団
 録音: 1940年
 ⑤ハンス・ランゲ指揮スタジオ・オーケストラ
 録音: 1935年
 ⑥⑦ドウィン・マッカーサー指揮サンフランシスコ歌劇場管弦楽団
 録音: 1939年
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年代を考えると全体的に音質水準が高く、フラグスタート全盛期のワーグナーを良好な音で耳に出来る貴重なディスクだが、収録環境ごとに音質に多少ムラもある。音質が比較的良いのはサンフランシスコ歌劇場のオケとの録音である①⑥⑦とフィラデルフィア管との録音である②④で、とくに②はオケの甘美な響きも印象的で、歌手ともどもオンマイクのくっきりとした音録りが秀逸。逆に最も音が瘠せ気味なのが⑤。その中間が③で、この③が全タイムの半分近くを占めているだけに、欲を言えば①か②くらいの音質水準ならなお良かったか。しかし歌唱自体の充実感は目覚ましく、メルヒオールのパルジファルとのスケール豊かな掛け合いが素晴らしい。

SONY「ワーグナー・グレイト・レコーディングズ」CD30の感想


「エスタ・ウィンベルイ ワーグナー・アリア集」
 歌劇「リエンツィ」より
  「全能の父よ、見そなわせたまえ」
 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より
  「冬のさなかの静かな炉辺で」「朝の光はバラ色に輝いて」
 歌劇「ローエングリン」より
  「快い歌声は消えて」「遥かな国に」「愛しい白鳥よ」
 歌劇「パルジファル」より
  「アンフォルタス!あの傷!」「たった一つの武器だけが」
 エスタ・ウィンベルイ(T)
 ジークフリート・ケーラー指揮スウェーデン王立歌劇場管弦楽団
 録音: 1995年
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モーツァルト歌手としてのイメージが強いウィンベルイによるワーグナー・アリア集だが、全体的に中高音域の発声に流暢な滑らかさと晴れやかな美しさが秀逸だが、それ以上の高音域に関してはDisc29のペーター・ホフマンのアリア集と比べてしまうと聴き劣りが否めない。実際ウィンベルイとホフマンのアリア集ではリエンツィの祈りとマイスタージンガーの優勝の歌とローエングリンの「はるかな国に」の3曲が重複しているのだが、これを聴き比べるとウィンベルイは高音域の発声の伸びやかさや輝かしさに遜色する印象を感じてしまう。しかし中高音域のリリカルな発声力は傑出しているので、ローエングリンの「愛しい白鳥よ」などでは実に魅力的な歌いぶりを披露している。

SONY「ワーグナー・グレイト・レコーディングズ」CD29の感想


「ペーター・ホフマン ワーグナー・アリア集」
 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より
  「はじめよ!」「優勝の歌」
 楽劇「ワルキューレ」より「父は剣を約束した」「冬の嵐は過ぎ去り」
 楽劇「ジークフリート」より「ノートゥング、ノートゥング」
 歌劇「リエンツィ」より「リエンツィの祈り」
 歌劇「タンホイザー」よりローマ語り
 歌劇「ローエングリン」より「はるかな国に」
 ペーター・ホフマン(T)
 イヴァン・フィッシャー指揮シュトゥットガルト放送交響楽団
   録音: 1983年
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少なくともペーター・ホフマンを聴くという点ではCD28のワルキューレよりはこちらを取るべきか。あのワルキューレでのオフマイクの声の細さが解消されているのが大きく、稀代のヘルデン・テノールの名唱を素直に堪能できる。全体的にホフマン持ち前の輝かしい高音の魅力が良く出ているが、ベストはタンホイザーのローマ語りで、アリア後半部での鬼気迫る歌いぶりが素晴らしい。オケは歌手に対して引き気味で、かなり表出力不足だが、こういったアリア集の場合は仕方のないところか。

SONY「ワーグナー・グレイト・レコーディングズ」CD28の感想


ワーグナー:楽劇「ワルキューレ」より第1幕
 エヴァ・マルトン(ジークリンデ)
 ペーター・ホフマン(ジークムント)
 マルッティ・タルヴェラ(フンディング)
 ズービン・メータ指揮ニューヨーク・フィルハーモニック
  録音: 1985年
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いまいち印象が弱い「ワルキューレ」だが、もっと良好な音質だったら、またガラッと印象も変わってくるのかもしれない。オフマイクのソフトな音録りが、ここぞという時のオケの迫力や歌手の凄味をことごとく削いでしまっているからだ。稀代のヘルデンテノールであるホフマンとドラマティックソプラノとして名高いマルトンの顔合わせだけにもったいない。メータ/ニューヨーク・フィルは少なくとも前奏曲では張りのある弦とパワフルな金管の織り成す強奏展開が素晴らしいが、幕に入るとマイクが引いてしまっているのか随分こじんまりした感じになっている。

SONY「ワーグナー・グレイト・レコーディングズ」CD24~27の感想


ワーグナー:舞台神聖祭典劇「パルジファル」全曲
 エバーハルト・ヴェヒター(アンフォルタス)
 ハンス・ホッター(グルネマンツ)
 フリッツ・ウール(パルジファル)
 ヴァルター・ベリー(クリングゾール)
 エリザベート・ヘンゲン(クンドリー: 第1&3幕)
 クリスタ・ルートヴィッヒ(クンドリー: 第2幕)
 トゥゴミル・フランス(ティトゥレル)
 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン国立歌劇場管弦楽団
 録音: 1964年
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カラヤンがウィーン国立歌劇場で指揮したオペラ録音としては貴重だが、音質はいまひとつ振るわない。オフ気味のボヤッとした感じの音で鮮明感が弱いし、モノラルなのでパノラマ感にも欠ける。しかしオーケストラが随所に披歴する弦楽器の濃密な表出力が印象的であり、カラヤンの手腕によるのか全体的に管楽器はそれほどでもないのに弦楽器は一貫して冴えた音を響かせている。歌手で特徴的なのはクンドリーを幕が変わるごとに別々の歌手に歌わせている点で、第2幕のクンドリーのニ重人格的な特異性を際立たせんとするカラヤンの発案とされるが、正直それほど奏功しているように思えないのは、やはり音質のせいか。それよりもホッターのグルネマンツの素晴らしさが印象に残る。  

SONY「ワーグナー・グレイト・レコーディングズ」CD20~23の感想


ワーグナー:楽劇「神々の黄昏」全曲
 ジークフリート:ルネ・コロ
 ブリュンヒルデ:ジャニーヌ・アルトマイヤー
 ハーゲン:マッティ・サルミネン
 アルベリッヒ:ジークムント・ニムスゲルン
 グートルーネ:ノーマ・シャープ
 グンター:ハンス・ギュンター・ネッカー
 ヴァルトラウテ:オルトルン・ヴェンケル
 ライプツィッヒ放送合唱団
 ドレスデン国立歌劇場合唱団
 マレク・ヤノフスキ指揮シュターツカペレ・ドレスデン
 録音:1980~83年
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ヤノフスキ/ドレスデンのアンサンブル展開が、かなり充実してきている。演奏方針自体はジークフリードまでと変わらないが、ここにきてオケの響きに一段と張りが出てきている。歌唱陣も粒ぞろいで、とくにサルミネンのハーゲンは抜群にいい。それはいいのだが、どうも気になるのが、この「リング」全曲録音を通してのダブルキャストが異様に多い点。シュライヤーがミーメとローゲ、ヴェンケルがヴァルトラウテとエルダ、くらいならまだしも、さらにシャープがグートルーネと森の小鳥、プリエフがロスヴァイゼとヴェルグンテ、サルミネンがファフナーとハーゲン。いくらセッション録りとはいえ、ちょっと度が過ぎないかという気もする。

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