ショルティ/コヴェントガーデンによるモーツァルト歌劇「ドン・ジョヴァンニ」全曲の感想

「ロイヤル・オペラ グレート・パフォーマンス」
 OpusArte 1955~1997年 OACD9024D
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【Disc12-14】
・モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」全曲
 チェーザレ・シエピ(Bs:ドン・ジョヴァンニ)
 ジェレイント・エヴァンズ(Br:レポレッロ)
 レイラ・ジェンチェル(S:ドンナ・アンナ)
 セーナ・ユリナッチ(S:ドンナ・エルヴィラ)
 ミレッラ・フレーニ(S:ツェルリーナ)
 リチャード・ルイス(ドン・オッターヴィオ)
 ロベルト・サヴォワ(マゼット)
 サー・ゲオルグ・ショルティ指揮
  コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団
 録音:1962年

このドン・ジョヴァンニは本ボックス最高の掘り出し物かもしれない。ショルティ/コヴェントガーデンのヴァイタリティあふれるアンサンブル展開、これでもかと名手を揃えた歌唱陣、オン気味に鮮明に録られた良好な音質。とくに歌唱陣の充実ぶりには目を見張るものがあり、はまり役のシエピ、こういう役を歌わせたら右に出るもののないエヴァンズ、練達のユリナッチ、若き日のフレーニと、まさに適材適所で隙がない。スタジオ録音でもかくやと思わせる豪華なキャスティングを平気で揃えてしまう往時のロイヤルオペラの凄さがここにある。

セラフィン/コヴェントガーデンによるドニゼッティ歌劇「ランメルモールのルチア」全曲の感想


「ロイヤル・オペラ グレート・パフォーマンス」
 OpusArte 1955~1997年 OACD9024D
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【Disc10~11】
・ドニゼッティ:歌劇「ランメルモールのルチア」全曲
 ジョーン・サザーランド(S:ルチア)
 ジョアン・ジビン(T:エドガルド)
 ジョン・ショー(Br:エンリーコ)
 ジョゼフ・ルルー(Bs:ライモンド)
 トゥリオ・セラフィン指揮
  コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団
 録音:1959年

このコヴェントガーデンの「ルチア」でのサザーランドのセンセーショナルな成功は有名であり、貴重な記録だが、音質に少しクセがある。かなりオンマイクで録られている割には残響過多なのか音が妙に不鮮明という印象。まあ59年のライブ録りの音質としてはギリギリ及第というべきか。演奏内容は全体的に秀逸で、やはりサザーランドのルチアが圧巻。狂乱の場での驚異的な高音のコントロールは人間離れしているし、ここぞという時の声のボリュームにも感服させられる。名匠セラフィンの味の濃いアンサンブル展開も素晴らしい。なお第3幕冒頭の「嵐の場」は慣例に従いカットされている。

ジュリーニ/コヴェントガーデンによるヴェルディ歌劇「ドン・カルロ」全曲の感想


「ロイヤル・オペラ グレート・パフォーマンス」
 OpusArte 1955~1997年 OACD9024D
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【Disc7~9】
・ヴェルディ:歌劇「ドン・カルロ」全曲(5幕版)
 ジョン・ヴィッカーズ(ドン・カルロ)
 グレ・ブロウエンスティーン(エリザベッタ)
 ティート・ゴッビ(ロドリーゴ)
 フェドーラ・バルビエーリ(エボリ公女)
 ボリス・クリストフ(フィリッポ)
 カルロ・マリア・ジュリーニ指揮
  コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団
 録音:1958年

この「ドン・カルロ」は掘り出し物だろう。このオペラは外題役だけでなくエリザベッタ、ロドリーゴ、エボリ、フィリッポの計5人に歌唱至難なアリアが配されているだけに、歌手を揃えるのが困難だから、条件的にセッション録音の方が絶対的に有利だが、コヴェントガーデンクラスのオペラハウスなら何とかなるものであり、ライヴでこれだけ立派な「ドン・カルロ」が聴ける録音は滅多にないと思う。5人のメイン歌手に関しては、欲を言えば切りがないが、全体的にハイレベルな歌唱展開であり、それぞれの聴かせどころのアリアで過不足のない歌いぶりを示しており、隙の無いキャストとなっているし、ジュリーニの指揮も充実している。イタリア・オペラの生理に則したアンサンブルの流れが見事というほかなく、とくにオケ低声部のふくよかなメロディラインを活かした鳴らし方など、「蝶々夫人」のケンペとは大違いだ。音質は年代相応だがオン気味のマイクによる音録りで響きに実在感があり、少なくとも同ボックス収録「オテロ」や「蝶々夫人」よりは遙かに良好な音質となっている。

ケンペ/コヴェントガーデンによる・プッチーニ歌劇「蝶々夫人」全曲の感想


「ロイヤル・オペラ グレート・パフォーマンス」
 OpusArte 1955~1997年 OACD9024D
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【Disc5&6】
・プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」全曲
 ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス(S:蝶々さん)
 バーバラ・ヒューイット(Ms:スズキ)
 ジョン・ラニガン(T:ピンカートン)
 ジェレイント・エヴァンズ(Br:シャープレス)
 ルドルフ・ケンペ指揮
  コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団
 録音:1957年

まず音質が良くない。オフマイクによる鮮明度不足に加えてノイズレベルも高く、同じ57年のトスカ(Disc3&4)と比べてふたまわりくらい音質が落ち、全体的に音の冴えに不足する。加えてケンペの格式ばった指揮もイタリアオペラの雰囲気と齟齬をきたしており、なによりプッチーニ特有の甘美なメロディの魅力が引き立っていない。歌唱陣の方ではラニガン(ピンカートン)とエヴァンズ(シャープレス)は平均的で可もなく不可。外題役のロス・アンヘレスは最も声に表出力を感じる。第1幕での軽やかなリリコ・スタイルから終盤での壮絶なドラマティック・スタイルまでの表現レンジの幅広さが見事だし、持ち前の凛とした美声の魅力も随所に披歴されているが、それでも音質的逆風を跳ね返すほどの名唱とまでは到らずというのが率直な印象。

ギブソン/コヴェントガーデンによるプッチーニ歌劇「トスカ」全曲の感想


「ロイヤル・オペラ グレート・パフォーマンス」
 OpusArte 1955~1997年 OACD9024D
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【Discc3&4】
・プッチーニ:歌劇「トスカ」全曲
 ジンカ・ミラノフ(S:トスカ)
 フランコ・コレッリ(T:カヴァラドッシ)
 ジャンジャコモ・グエルフィ(Br:スカルピア)
 フォーブズ・ロビンソン(Br:堂守)
 マイケル・ラングドン(Br:アンジェロッティ)
 デイヴィッド・トゥリー(T:スポレッタ)
 アレグザンダー・ギブソン指揮
  コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団
 録音:1957年

Disc1&2の「オテロ」から2年後の録音だが、その「オテロ」より音質がふたまわりくらい良く、ようやく年代相応の音で聴くことができる。この「トスカ」は何といってもカヴァラドッシを歌うコレッリの歌唱が最大の聴きものだろう。このテノールのはまり役であるだけに表出力が素晴らしく、わけても第2幕でスカルピアの拷問から解放された直後の「Vittoria」での、果てしなく引き伸ばされる超高音の凄さは、ちょっと人間業とも思えないほどで、歌の途中なのも構わず客席から拍手が飛び出している。第3幕の「星は光りぬ」も見事なもので、アリア後にトスカが登場してオケが鳴りだしても観客の拍手が鳴り止まないほど。このコレッリに比べるとトスカ役ミラノフとスカルピア役グエルフィは十分な歌唱力とはいえ、いまひとつ小粒な感じもする。ギブソン指揮のオーケストラは終始安定感のあるアンサンブル展開で、突出した印象はないが安心して聴いていられる。

クーベリック/コヴェントガーデンによるヴェルディ歌劇「オテロ」全曲の感想


「ロイヤル・オペラ グレート・パフォーマンス」
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【Disc1&2】
・ヴェルディ:歌劇「オテロ」全曲
 ラモン・ヴィナイ(T:オテロ)
 グレ・ブロウエンスティーン(S:デズデモナ)
 オタカール・クラウス(Br:イヤーゴ)
 ジョン・ラニガン(T:カッシオ)
 ノリーン・ベリー(Ms:エミーリア)
 レイモンド・ナイルソン(T:ロデリーゴ)
 ラファエル・クーベリック指揮
  コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団
 録音:1955年

まず音質だが、この年代の実況録音としては良くない部類に属するだろう。ノイズレベルが相当に高く、オケ・歌手とも引き気味のマイクでモッサリとした感じで録られている。オケ・歌手に関しても、全体的に微妙。オテロ役ヴィナイは第1幕での声の冴えの無さが異様で、とくに聴かせどころである「剣を捨てろ(Abbasso le spede)」での弱々しさにはビックリ。しかし第2幕に入ると次第に復調し、イヤーゴとの復讐の二重唱あたりになると、なかなか凄味のある歌声を聞かせている。デズデモナのブロウエンスティーンは第3幕などでは良いが、ノイズが高いので仕方がないとはいえ、肝心の第4幕の柳の歌が弱いのがネック。イヤーゴのクラウスは全体的に声量は良く出ているが表情が一面的で、いまひとつ凄味に乏しい。クラウスはどちらかというとワーグナー「リング」のアルベリヒの録音の方で知られているバリトンだと思うが、イヤーゴはやはり生粋のヴェルディ・バリトンで聴きたいところだ。クーベリック/コヴェントガーデンに関しても、おそらく音質面での問題が大きいと思うが、あまり惹かれるところがないというのが率直な印象。

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