ウィーン・フィル来日公演(10/17 サントリーホール)の感想


先週のウィーン・フィル来日公演(10/17 サントリーホール)の感想です。

2011-10-17d

オケの配置は両翼型(第1V-チェローヴィオラー第2V)、編成はモーツァルトが10型でブルックナーが14型でした。なお指揮者のクリストフ・エッシェンバッハは両曲とも譜面なしでの指揮でした。

前半のモーツァルト交響曲第34番は今一つパッとしない演奏で、ウィーン・フィルにしては各パートの音色の色彩立ちが大人しく、ずいぶんシックでストイックな響きだなと思ってしまいましたし、このシンフォニーの祝祭的な性格からするともう少し華やかさが欲しいとも聴いていて思いましたが、ただエッシェンバッハの運用に関しては、第1楽章では展開部・再現部それぞれの冒頭でテンポに溜めを持たせたり、第2楽章も遅めのテンポでじっくりとメロディを聴かせたり、終楽章はベートーヴェンを指揮するようなダイナミックな身振りでガッチリとした造形を披歴してみせたりなど、そのリーダーシップは全体的に顕著に発揮されていたように思えましたので、決して無個性の演奏ではなく、後は好みの問題ということになろうかと思います。

後半のブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」 においては、前半のモーツァルト以上にエッシェンバッハのウィーン・フィルに対するリーダーシップが強力に発揮されていましたが、こちらは曲自体の性格に照らしても申し分がなく、まさにこのコンビならではというような見事なブルックナーを耳にすることができました。アンサンブルが全体的に少し荒れ気味だったのが玉にキズでしたが、ウィーン・フィル特有の音響美は前半のモーツァルトよりも顕著でしたし、総タイム70分オーバーの雄大な時間的スケール、独特の粘着味を帯びたメロディの濃密感、ニュアンスに富んだピアニッシモの表現力、深々と鳴らされたフォルテッシモの屈強な迫力。

このようなエッシェンバッハのブルックナーを聴きながら思い起こされたのが、昨年のウィーン・フィル来日公演で耳にしたフランツ・ウェルザー=メストのブルックナー9番の演奏のことでした。

そのメスト/ウィーン・フィルのブルックナーというのは、全体を通してアンサンブルに余分な力みや停滞がなく、音楽が自然に淀みなく流れていき、トッティの響きも円滑に溶け合って決して汚く響きませんでしたし、メストの運びはリズムの切れが良く、テンポも速めで、響きのバランスにしても最強奏のクライマックスでさえ決して大音響を炸裂させることをせず、ここぞという時に必ずウィーン・フィルの馥郁たる音響美がホールに充溢するという按配でした。

それに対し今年のエッシェンバッハ/ウィーン・フィルのブルックナーというのは上記のメスト/ウィーン・フィルのブルックナーとは好対照とも思える演奏でした。というのも、音楽を自然に淀みなく流していくというよりは指揮者の主観により随時メリハリ立った起伏を与えつつ、最強奏のクライマックスではアクセル全開のフォルテッシモを披歴し、時にはウィーン・フィルの馥郁たる音響美に背を向けてでも耳に痛いくらいに熾烈で凄味のある大音響を容赦なく炸裂させるという行き方が披瀝されたからです。

そして正直このエッシェンバッハの行き方だと同じブルックナーでも4番でなく9番であればさぞかし、という気がしてしまいました。逆に昨年のメストの行き方の場合むしろ曲想的に9番よりも4番の方がフィットしたかもしれないという気もしました。

ともあれ今年のウィーン・フィル来日公演では久々に指揮者の強烈なリーダーシップに則したブルックナーの充実した演奏が聴けて大満足でしたし、できればエッシェンバッハにはまたウィーン・フィルとともに来日し、今度はブルックナーの8番や9番あたりを是非とも指揮して欲しいと思いました。

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