コリン・デイヴィス/コヴェントガーデン王立歌劇場管によるヴェルディ歌劇「トロヴァトーレ」全曲


ヴェルディ 歌劇「トロヴァトーレ」全曲
 C・デイヴィス/コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団
 フィリップス 1980年 PRCP-1390/1
PRCP-13901

来月に新国立劇場で上演されるヴェルディの歌劇「トロヴァトーレ」を観に行く予定ですが、その前に歌詞対訳付き全曲盤を一通り聴いておきたいと思い、コリン・デイヴィス指揮コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団の演奏によるCDを聴きました。

デイヴィスの指揮はこのオペラ特有のおどろおどろしい情景描写に対して全体的に音楽表情が静穏的で劇的抑揚力に乏しい感も否めませんが、むしろ各歌唱に対する配慮の効いた管弦楽展開に独特の個性味があり、この指揮者ならではの堅実を尽した音響フォルムをベースに、場面場面での歌唱陣の個性が管弦楽に阻害されることなく、むしろ生き生きとした生命を得て羽ばたいているように感じられるあたり、当時のデイヴィスのロイヤル・オペラ音楽監督としてのキャリアがさりげない形で発揮されているように思えます。

タイトル・ロールのカレーラスは全体的に中・高音とムラの無い端正な歌唱様式と情熱味あふれる持ち前の声質を武器として、特に第3幕のアリア(カヴァティーナ)「ああ愛しき人よ」においてその本領が良く発揮されていますが、この場面ではデイヴィスの管弦楽表現も実に見事なもので、アリアを導入する分散和音のデリケートな和声音彩に始まり、アリア進行に伴い調性が微妙に変化する響きの色合いに対する非常にデリケートなコントロールにより、マンリーコの心象機微の移ろいが手に取るように繊細にトレースされていますし、それがまたカレーラスの甘美な美声を存分に引き立てる結果ともなっています。

レオノーラ役リッチャレッリはその端正なイタリア様式的歌唱と声質上の清廉なリリシズムが役柄に相応しい悲劇のヒロイン的キャラクタにフィットし、特に第4幕フィナーレを通してカタストロフの終幕に突き進む悲壮な表情が極めて痛切に表現されているあたり素晴らしい聴きごたえでした。

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