東京交響楽団の定期演奏会(9/17 サントリーホール)


9/17 サントリーホール
東京交響楽団 定期演奏会

2011-09-17

指揮:大友 直人
チェロ:宮田 大

演目:
 シューマン チェロ協奏曲
 ブラームス ピアノ四重奏曲第1番(シェーンベルク編曲版)

久しぶりに仕事の帰りにサントリーホールに寄りました。仕事といっても前日オペラを観に行くため早めに切り上げたぶんの埋め合わせ出勤なんですけどね、、、いやはや、大震災の発生から3ヶ月ほどは仕事が目に見えて減っていたので、いつか反動が来るだろうと覚悟していたところが、案の定7月以降めっきり忙しくなりました。

本当のところ、私としては休日にコンサートに出撃するよりは仕事の帰りにホールに立ち寄って聴く方がよっぽど好きなんですが、最近は残業つづきで開演時間どころか終演時間にも間に合わないので、平日のコンサートは当分のあいだ断念せざるを得ません。せっかくのコンサートシーズンというのに残念です。

閑話休題。オーケストラの配置は第1ヴァイオリンとヴィオラとを対向させた型、編成は前半のシューマンが12型で後半のブラームス(シェーンベルク編)が16型でした。

前半のシューマン・チェロ協奏曲は2009年のロストロポーヴィチ国際チェロコンクールで日本人初の優勝を果たした宮田大をソリストに据えての演奏。この曲、実演で聴くのは初めてでしたが、正直ずいぶん地味な曲だなと思いました。CDだとフルニエの演奏などが思い浮かびますが、録音の場合どうしても独奏チェロの旋律線が過分に強調されがちになるので、そのぶん華やかにも聴こえるんですが、実演で聴くと独奏チェロの担っている内省的な音楽の味わいが、それこそ否応なしに印象づけられるので、聴いているうちに地味が滋味に転化し、いつしかシューマン最晩年の音楽の箴言が沁み入ってくるという感じでしょうか。

その意味では、CDより実演で聴く方が向いている曲なのかもしれないと、ふと思いました。独奏チェロに関しては流石としか言いようがありませんでしたが、オケは全体的に鳴りが悪いなと感じました。シューマンなので仕方ないのかもという気も。むしろソロにピタリと付けていく伴奏力が見事でした。そういえば大友/東響は昨年のラファウ・ブレハッチ来日演奏会でもコンチェルトの伴奏を務めていましたが、あの時もソロに付けるのが巧いなと聴いていて感心したことを思い出しました。

前半のブラームス・ピアノ四重奏曲第1番のシェーンベルク編曲版ですが、この作品をシェーンベルク自身はブラームスの5番めの交響曲だと言って自画自賛したという話ですが、私の印象だと、この作品に聴かれるオーケストレーションの華やかな色彩感は明らかにブラームスのそれとは異質なので、ブラームスの交響曲として聴くのにはちょっと抵抗を感じてしまうんですが、そのあたり当夜の演奏はどういうアプローチで来るかと思っていたところ、大友は指揮棒を持たずに東響を精緻にコントロールし、ドイツ・ロマン派としての重厚なブラームスの音楽の様相を強調してかかるというよりは、むしろ弦をスリムに絞りつつ、たとえ音符が密集する段においてもアンサンブルの見晴らしを犠牲にすることなく、いわばシェーンベルクのオーケストレーションの内奥を聴衆に丁寧に解きほぐすというような行き方を披歴したように感じられました。

したがってシェーンベルクが言ったようなブラームスの5番めの交響曲として聴くことを期待していた向きには弦を中核とする重厚な迫力に少し不満を覚えたのではないかとも思われましたが、少なくとも私には大友/東響としての独自の見識を踏まえた方向性における規範的な演奏内容と思えましたし、その意味では私にとって今後この作品をCDなり実演で聴く際の一つの規範ともなり得るような見事な演奏でした。

当夜の公演は18時に始まり終演時刻が19時40分と少し早めでしたが、ホールを出るとカラヤン広場にアークヒルズ恒例の秋祭りの祭囃子が盛大に鳴り響いていたので、しばしの間ぼんやり聴いていました。いまだ厳しい残暑が続くとはいえ、やはり秋は来ています。

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