カラヤン/ベルリン・フィルによるワーグナー歌劇「ローエングリン」全曲


ワーグナー 歌劇「ローエングリン」全曲
 カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 EMIクラシックス 1975・76・81年 TOCE6366-69
TOCE6366-69

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるワーグナー歌劇「ローエングリン」のCDを聴きました。今月のバイエルン国立歌劇場の来日公演でワーグナーの「ローエングリン」が上演されるのを聴きに行く予定なので、その前に対訳付き全曲盤で一通りさらっておこうと思ったからです。

このカラヤン/ベルリン・フィルの「ローエングリン」全曲盤は周知のように1976年ザルツブルグ・イースター音楽祭での同じコンビによる「ローエングリン」の上演と連動したレコーディングとなっていますが、タイトルロールのルネ・コロとカラヤンとがローエングリンのアリアの解釈をめぐって衝突したため両者の共演が決裂するとともにレコーディングが頓挫し、カラヤンの「幻のローエングリン録音」となっていたところ、80年代になって両者の和解により、ようやく世に出ることになったという経緯があります。この決裂の際にコロが「現在ドイツ語圏でローエングリンを歌えるヘルデン・テノールは5人あまりを数えるに過ぎないが、それを指揮する指揮者は5000人もいる」と誇らしげに語ったというエピソードはあまりにも有名です。

このカラヤンの「ローエングリン」は稀代のオペラ指揮者カラヤンと稀代のヘルデン・テノールであるコロとの妥協を排したレコーディング・スタンスに裏打ちされた、管弦楽演奏と歌唱力の比類無いほどの充実感が素晴らしく、カラヤンの一連のワーグナー録音の中でも屈指のものではないかと思います。オケの演奏は一貫して美的な響きを保ちながら時として壮麗重厚、時として精密精緻であり、第3幕への前奏曲などにおけるフォルテでの絢爛を極める壮大な音響、第1幕への前奏曲などにおけるピアニッシモでの室内楽的に繊細な響きなど、場面場面でのダイナミクスの切り分けが実に見事ですし、タイトルロールのルネ・コロとエルザ役トモワ・シントウを中心とする贅を尽くした歌唱陣のアンサンブルも、また絢爛たる歌いっぷりを披歴し、全編に漲るオペラ演奏としての求心力には驚くべきものを感じます。

今年のバイエルン国立歌劇場の来日公演「ローエングリン」は往年のルネ・コロにも比肩するといわれるドラマティック・ソプラノ、ヨナス・カウフマンがタイトルロールに予定されていましたが、残念ながら先月末に喉の疾患によるキャンセルが発表されました。代役はヨハン・ボータとのこと。いい舞台を期待したいと思います。

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