ゲルギエフ/マリインスキー歌劇場管によるショスタコーヴィチ交響曲第8番


ショスタコーヴィチ 交響曲第8番
 ゲルギエフ/マリインスキー歌劇場管弦楽団
 フィリップス 1994年 446062-2
446062-2

ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団によるショスタコーヴィチの新譜である交響曲第3番と第10番を収録したCDを購入したことを先日ブログに書きましたが、聴いてみたところが交響曲第10番が非常に素晴らしい演奏内容で、これは同コンビによる一連のショスタコーヴィチ交響曲録音チクルスの中でも最高のものではないかと思いました。

このコンビならではの、音響的な質量を音楽自体の質量に余すところなく転換したかのような張り詰めたオーケストラ・ドライブに加えてオーケストラ自体の驚くべき深みのある陰影も聴いていて目を見張るばかりで、それらが結託することによる演奏自体の表出力が途方もなく、あらためてこの作品の底知れない奥深さを鮮烈な形で突き付けられたような印象を聴き終えて抱きました。

これに対し交響曲第3番「メーデー」に関しては、いかにゲルギエフ/マリインスキーの演奏でも胸に迫ってくるものは特段ありませんでしたし、交響曲全集の完成のために避けて通れないとはいえ、現在この曲を録音する切実な意義があるとは思えませんでした。

同コンビが着々と進めているショスタコーヴィチ交響曲チクルスとしては、これで第12~14番の3曲を残すのみとなりましたが、フィリップス時代に録音した4番~9番に関しても、彼らの現在の実力と音楽的充実感を考えればSACDメディアでの再録音というのも悪くないのでは、という気がします。私はSACDを過度に崇拝する者ではないですが、このコンビのフィリップス時代のショスタコーヴィチの録音、特に8番あたりに関してはそう思います。

というのも、この交響曲第8番の録音は周知のように、この一連のチクルスの第1弾としてリリースされたものですが、確かに演奏内容は極めて充実しているものの、その音質面において時にフィリップス・トーンの滑らかな音響的肌ざわりがアンサンブルの響きを生硬なものにしている嫌いがなくもなく、SACDレベルの明晰な音質で捕捉するならば、またグッと演奏自体の表出力が向上するような気がするからです。また、現在の同コンビの実力からすると、音質云々以前に更に深みのある表現が可能なようにも思えます。

そういう次第で、私は今回リリースのゲルギエフ/マリインスキーの交響曲第10番を聴き終えて、その演奏内容の素晴らしさゆえに残る第12~14番の3曲のリリースも大いに期待するとともに交響曲第8番あたりの再録音をも望みたくなりました。

コメント

 

コメント

 
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

Powered by FC2 Blog
Copyright © クラシックCD感想メモ All Rights Reserved.