ベレゾフスキーによるチャイコフスキー・ピアノ協奏曲第1番の1990年ライヴ


チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
 ベレゾフスキー(pf) キタエンコ/モスクワ・フィル
 テルデック 1990年ライヴ WPCC-3870
WPCC-3870

先月のラ・フォル・ジュルネでのリサイタルが素晴らしかったボリス・ベレゾフスキーのCDを聴きました。これは1990年チャイコフスキー国際コンクール・ガラ・コンサート(同年7月7日、モスクワ音楽院大ホール)でのライヴ録音で、同年のコンクールにおけるピアノ部門優勝者のベレゾフスキーと、ヴァイオリン部門優勝者の諏訪内晶子が、それぞれチャイコフスキーのコンチェルトを披露しています。

このCDは、併録されている諏訪内晶子の演奏も興味深いものでした。というのも諏訪内が同じ曲を10年後にフィリップスにスタジオ録音(アシュケナージ/チェコ・フィル)した演奏と比べると、全体にフレージングにおけるニュアンスが振るわず、後年とは随分と傾向が違う印象を受けるからです。

諏訪内晶子のCDデビュー後の専属レーベルであるフィリップスは残響感の比較的ゆたかな音録りで知られ、すくなくともテルデックとはトーンの傾向が大きく相違するところですが、基本的にフィリップス・トーンで固まっている諏訪内晶子のヴァイオリンのイメージからすると、このテルデック盤の演奏は違和感を覚えます。全体的に音色が味気ない。後年のフィリップス録音に聴かれる甘く、神秘的な音色の妙感が聴かれない。逆にベレゾフスキーの場合は後年のレーベルも同じテルデックなので違和感が少ないのでしょう。

ベレゾフスキーはテルデックからCDを多くリリースしているものの、ライヴ録音は意外と少ないので、敢えて彼のキャリアの出発点ともいうべき、このチャイコフスキーを聴いてみました。このCDに聴かれるベレゾフスキーの表現は彼らしい剛毅さと豪快さを感じさせるマッシブなタッチを中核に展開される、万全のテクニックに基づく痛快なヴィルトゥオジティが素晴らしいものである反面、その若さ溢れる直截的なアプローチが音楽をやや含蓄の乏しいものに留めている印象もあります。少なくとも最近の録音やLFJでの実演に聴かれる彼のピアニズムとは似ているが微妙に違った様相の演奏として感じられました。

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