アルミンク/新日本フィルの演奏会(5/20 すみだトリフォニーホール)の感想


昨日(5/20)のアルミンク/新日本フィルの演奏会(すみだトリフォニーホール)の感想です。オケの配置はVn-Va対向、編成はブラームスのみ14型で他2曲が16型でした。

最初のドヴォルザーク・交響的変奏曲は演奏機会の少ない作品とのことで最初は興味深く聴いていましたが、この作曲家に特有の美しいメロディに彩られた、親しみやすい諧調はよいとしても、似たような雰囲気の変奏部が30分近くも延々と連なっているのには、いい加減うんざりで、だから演奏機会が少ないのでは、とも思ってしまったんですが、昨日は少し体調が悪かったため、そんな風に感じただけかもしれません。

続いてはブラームスのダブル・コンチェルト。ヴァイオリン奏者がアリッサ・マルグルス、 チェロ奏者がタチアナ・ヴァシリエヴァでしたが、もともとはヴァイオリン奏者に五明カレン、チェロ奏者にクリスティアン・ポルテラが予定されていたところ、両名とも都合により(福島原発でしょうね)キャンセルとなり、上記2名が急きょ登板という形になりました。

ヴァシリエヴァは先のラ・フォル・ジュルネで少しだけ聴いたものの、きちんとした形で聴くのは今回が初めてでしたが、彼女の演奏にしては全体に手堅い感じで、マルグルスともども、ブラームスのスコアを誠実に音化していたという点では十分な演奏とも思えましたが、ヴァシリエヴァは昨年リリースされたショパンのチェロ・ソナタのCDが非常に素晴らしかったし、バッハ無伴奏チェロ組曲のCDでもやりたい放題というべき個性的な演奏だったことを考えると、もう少し彼女ならではの個性味が強く出ても良いのではと思ってしまいました。

後半は、いよいよマルティヌーの交響曲第3番。実は、これを目当てに当夜の公演チケットを取りました。この曲が昨年末にヤクブ・フルシャ/東京都響の演奏会で取り上げられ、絶賛を博したという評判を聞くにおよび、それほどの曲なら是非とも生で聴いてみたいと、思っていたところが、このたび新日本フィル定期でアルミンクが取り上げるというので、この機とばかり聴きに行きました。

この交響曲はマルティヌーが1944年に作曲した、3つの楽章からなる作品で、作曲の背景には当時アメリカで暮らしていたマルティヌーの、祖国チェコへの望郷の念と、そのチェコを蹂躙したナチスへの反感の念といったものがあるとされますが、なるほど悲劇的な音楽のトーンが全体を支配するなか、鬱屈した感情が全編に逆巻いているような、名状しがたいペシミズムが、時おり唐突に暴発したように盛りあがり、それが凄まじいカタストロフを形成する、そんな音楽の様相が、当夜のアルミンク/新日本フィルの実演においては仮借なく表現されていました。

この作品が、確かに尋常ならざる緊迫感に満ち溢れたような作品である点は、当夜の実演では十分に伝わってくるものでしたが、しかし私が聴き終えてピンとこなかったのは、まず、この曲がベートーヴェンの「英雄」交響曲を意識した作品であると、マルティヌーが明言している点で、あのベートーヴェンの英雄の、雄渾きわまりない楽想とは、随分と乖離しているように思えるし、あの音楽史に燦然と輝くほど驚異的にロジカルに組まれたベートーヴェンのソナタ構造という点でも、やや系統の異なる作品のように思えるしで、一体どのあたり意識したのだろうというのが聴き終えても謎のままでした。

他にもマルティヌーは、確か交響曲第6番がベルリオーズの幻想交響曲をモデルとし、交響曲第2番がベートーヴェンの「田園」をモデルとしたと言っていたと記憶しますが、そもそも自分の書いた交響曲において、過去の有名作品、それも音楽史上において特筆大書されるほどの交響曲を、いちいちモデルにした、と明言するシンフォニストは、私の知る限りマルティヌーだけに見られる現象ではないかと思うんですが、何故そうする必要があるのか、、?

というようなことは、マルティヌーの交響曲を理解するうえで考えざるを得ない点でもなんでもなく、どうでもいい話なのかもしれません。が、私には何となく引っ掛かる。そのへんの手掛かりを当夜の実演で掴めればいいなあと思っていたのが、結局わからずじまい。せっかくのアルミンク/新日本フィルの好演(アルミンクは先週マスコミを騒がせた福島原発「メルトダウン」報道にもかかわらず、公演の4日前に来日、3日前からリハーサル開始、という強行軍で、あれだけの演奏が出来てしまうのは、やはりオケに地力があるからでしょうね)、体調が良い時に聴いていたら、もっと収穫が得られたかもと、少し悔いが残りました。

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