カルロス・クライバー/バイエルン国立管によるベートーヴェン交響曲第7番の82年ライヴ


ベートーヴェン 交響曲第7番
 C.クライバー/バイエルン国立管弦楽団
 オルフェオ 1982年ライヴ ORFEOR700051
ORFEOR700051

昨日の更新でも少し触れましたが昨年秋に邦訳版が刊行されたカルロス・クライバーの自伝「カルロス・クライバー ある天才指揮者の伝記」下巻を読み終わりました。ちょっと俄かに信じがたいような奇抜なエピソードがゴロゴロ掲載されていて(クライバーらしいといえばらしいんでしょうけど)、読んでいて面白いことは面白いんですが、ただ、何といいますか、、

そのあたりの感想についてはいずれ読書エントリーで取り上げようかとも思っていますが、そういったクライバー晩年の人となりに関する話とは別に、彼の残した各録音にまつわるエピソードも豊富に掲載されていました。例えば本CD、クライバーの死後2006年に独オルフェオから突如としてリリースされ、センセーショナルな話題となった、バイエルン国立管とのベートーヴェン7番、1982年5月3日ミュンヘンのナツィオナル・テアターでのコンサートのライヴ。このコンサートは前半にベートーヴェンの4番、後半に7番というプログラムで、その4番の方のライヴはクライバーが生前に発売許可を認めた数少ないライヴ録音としてあまりに有名です。

このコンサートに関しては伝記下巻のP.151~152に記載があり、もともとはカール・ベームが振る予定のコンサートであったこと、そのベーム死去に際しての追悼としてクライバーが指揮を許諾したこと、この時の前半の4番のライヴ録音をクライバーが発売許可した背景に、父エーリッヒゆかりの劇場であるプリンツレゲンテン劇場の再開のために収益を役立てるという契約がレコード会社と交わされていたことなどが書かれています。

もっとも、この時の7番の方のライヴ盤リリースをクライバーが生前ついに許諾しなかった理由については特に言及がありませんでした。やはりクライバー自身がこの時の7番の演奏内容に満足していなかったのか、あるいはクライバーはベートーヴェンの7番をウィーン・フィルを指揮してグラモフォンにスタジオ録音しているので、それとの関係で同じ曲の録音を他のレーベルからリリースすることを(少なくともクライバーの生前は)禁止するような契約条項がグラモフォンとの間にあったのか、、いずれにしても真相は分かりません。

本CDの演奏内容はクライバーの一連の正規録音の中でも最高度にエキサイティングなものですし、こんな凄い録音を何故クライバーはリリースしなかったのかと訝りたくもなりますね。

コメント

 
1999年の1月、私はクライバーを追いかけてカナリア諸島に行きました。バイエルン放送響との共演(初?)で、当初はシューベルトの3番とブラームスの2番(か4番)+魔弾の射手序曲というクライバーお馴染みのプログラムが発表されていましたが、結局2日間の公演ともベートーヴェンの4番と7番+こうもり序曲(アンコール)でした。初日は何か気の抜けた演奏で、アンコールだけが良かった印象でしたが、2日目はDVDになているアムステルダムや4月にNHKBsで特集が放送される東京公演のように熱気に溢れた早い晩年のクライバーが最後の輝きというか噴火を見せた瞬間に立ち会えました。
りゅうたろう様
コメント有難うございます。

> 1999年の1月、私はクライバーを追いかけて
> カナリア諸島に行きました。

そうでしたか。私はクライバーの実演は一度も聴けなかった人なので羨ましい限りです。

ちなみに例の伝記にもカナリアでのコンサートのことは書かれていますが、初日にハリケーンが島を襲い「車があちこちに転がされ、家の屋根が吹っ飛び、演奏会も危険にさらされた」と書かれているんですが、大丈夫でしたか?

> バイエルン放送響との共演(初?)で、

意外にも初共演だったみたいですね。伝記によるとクライバーはバイエルン放送響に1979年にデビューする手はずだったが、共演者のポリーニが病気でキャンセルしたため演奏会自体が取りやめになっていたとのことです。

> 2日間の公演ともベートーヴェンの4番と
> 番+こうもり序曲(アンコール)でした。

このカナリア諸島のコンサートの後、クライバー/バイエルン放送響は同じ演目でスペインのヴァレンシアとイタリアのカリアリでコンサートを行っていますね。それがクライバーの生涯最後のコンサート・ツアーとなってしまった。

> 早い晩年のクライバーが最後の輝きというか
> 噴火を見せた瞬間に立ち会えました。

私は同年のヴァレンシア・ライヴのプライヴェート盤を持っていますが、それを聴くとベートーヴェンの4番・7番ともにクライバーかつての手兵・バイエルン国立管との演奏とはまた一味違う一期一会の情熱が全編に漲っていて、いまいち冴えない音質なのに圧倒させられます。実演はさぞかし素晴らしかったに違いないと思っていました。

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