ツィメルマンのピアノ演奏によるバツェヴィチのピアノ作品集


バツェヴィチ ピアノ作品集
 ツィメルマン(pf)他
 グラモフォン 2009年 4778332
4778332

腹が立ちました。このCDを聴き終えて。

独グラモフォンから先月リリースされた、クリスティアン・ツィメルマンのピアノ演奏によるバツェヴィチのピアノ作品集のCDを聴きました。収録されているのは主に20世紀中葉に活躍したポーランドの女流作曲家グラジナ・バツェヴィチのピアノ作品のうちピアノ・ソナタ第2番、ピアノ五重奏曲第1番・第2番の3曲。なおピアノ五重奏曲ではポーランドの4人の弦楽奏者が録音に参加しています。

これはツィメルマンのCDとしては同じグラモフォンから2005年にリリースされたブラームスのピアノ協奏曲第1番以来、実に6年ぶりの新譜になります。

私は昨年6月のツィメルマン来日リサイタルでの演奏に大いに感銘を受けましたので、この新譜は待ってましたとばかり購入しました。

その来日リサイタルで思い出されるのが、公演プログラムの中に掲載されていたツィメルマンへのインタヴュー記事です。そこでは最近の彼が何故レコーディングを行わないのか、その理由が開陳されていました。それがレコーディングという行為に対して非常に懐疑的かつ否定的な論調で書かれていたものですから、それを読んだ私は今後ツィメルマンの新録音がリリースされる可能性がほとんどゼロに近いのではないかと思ったほどでした。

しかし、ツィメルマンの前回の録音である前述のブラームスのCDのライナーには、そのブラームスの録音のために、ツィメルマンが80種以上ものレコードに耳を傾け作品の正しいテンポを研究した旨が記載されていましたし、これまでの彼の潤沢なレコーディング歴からしても、くだんのインタヴュー記事は一体どうしたことかと思わせるような文調でした。

そして今回リリースされたバツェヴィチの作品集のCDを聴きましたが、これは一体なんという演奏なのだろうという深い驚嘆を禁じ得ませんでした。どの音、どのタッチひとつ取っても有機的な響きと得難いまでの表出力が漲る、そして時には死力を尽くして弾いているのかとさえ思えるほどの張り詰めたピアニズムの緊迫感。

このバツェヴィチの作品集のCDは、実はグラモフォンがバツェヴィチ生誕100年記念となる2009年にリリースされる予定であったところ、その発売が何度も延期されたあげくに発売自体が立ち消えになっていたという経緯があったと記憶します。

しかし、これほどにツィメルマンの死力を尽くしたような掛け替えのない演奏内容のCDの発売を、よくもここまで延期したものだ、グラモフォンは一体なにを考えているのか、と、冒頭に書きましたように、聴き終えて何だか無性に腹が立ったのでした。

おそらくツィメルマンとしてもバツェヴィチ生誕100年記念となる2009年にリリースを強く望んでいたと思われます。これはあくまで私の憶測ですが、前述のインタヴュー記事で示したツィメルマンのレコーディングに対する拒絶姿勢は、もしか今回のグラモフォンの不誠実なCD発売延期が絡んでのことではないかという風に思えなくもありません。

いずれにしても、これほどの実力のピアニストがレコーディングを行わないという事態はどうにかならないものかと思いますし、今後のツィメルマンの新譜リリース(もう難しいのかもしれませんが)の動向には一層の注意を払いたいと思います。

コメント

 
この発売延期には私も腹が立ちました。

どうやらツィメルマン自身はバツェヴィチが自演したヴァイオリンソナタをアルバムに入れたかったらしいんですが、ドイツフラモフォンがその音源を所有するポーランドラジオ局との交渉を進めず、結局決裂したということのようです。DGの怠慢ですよね。

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