バレンボイム/シュターツカペレ・ベルリンによるマーラー交響曲第9番


マーラー 交響曲第9番
 バレンボイム/シュターツカペレ・ベルリン
 テルデック 2006年ライブ WPCS12017
WPCS12017

昨日の更新で、シュターツカペレ・ベルリン自主制作レーベルから先般リリースされたダニエル・バレンボイム指揮シュターツカペレ・ベルリンの演奏によるブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」のCDを聴いた感想を掲載しました。その中でも少し触れましたが、そのCDの音質の感触において、このコンビが以前テルデックに録音していた一連のCDに聴かれる音質とは明らかに諧調が違っていたことに聴いていて少なからず驚きを覚えました。

それに関して私に思い起こされたのが、かつて2007年の秋に聴いたバレンボイム率いるシュターツカペレ・ベルリンの来日公演のことです。演目はマーラーの9番でした。

07-10-12

この時に披歴されたマーラーは今でも忘れ難く、なによりもホールに広がるオーケストラのソノリティの感触に得難いまでの味わい深さがあり、とりわけ弦パートの発した渋め基調の音色が実に良く、その一切のぎらつきを抑えたような、まったく独自の深みを湛えたアンサンブルの響きが第1楽章冒頭の最弱音から心にグッと訴えかけてきて、そのまま終曲まで聞き惚れてしまったほどでした。

あまりに素晴らしかったものですから終演後に、そのときロビーで売られていた同じ演目のCDを買い求めました。それが本CDです。

ところが、このオーケストラの独特の音色感は実演でこそ大変に魅力的だったのに、それがCDの録音になると、それほど良さが伝わってきません。全般的にオーケストラのソノリティのギラつき感が強く、特に弦の味わいが実演と比べてかなり薄くなっているように感じますし、録音バランスにしても全体的に管パートが過大に強調されているように聞こえ、フォルテッシモでの金管の強奏ぶりなど、確かに凄い威力ですが、そのため弦がかなり食われてしまっているようですし、それ以前に、何か不自然なバランスという感が否めません(少なくとも実演の時とはバランスがかなり違っているはず)。そもそも音質的に、かなり硬質感の強い録音で、確かに細部までクリアーなサウンドの拡がりではあるものの、このオーケストラ特有のふくよかなソノリティの良さは、あまりマイクに入っていないのではないかと思えてしまいます。

もともとテルデックの、レーベルとしての音質的傾向は、おおむね残響感を抑制した硬質な音録りに特徴があると言われています。であるなら、これまで同レーベルからリリースされているバレンボイム/シュターツカペレ・ベルリンの多くの録音も多かれ少なかれ、そういったトーンポリシーの影響を良くも悪くも被った形になっていたのではないかと思えなくありません。

これに対して今回シュターツカペレ・ベルリン自主制作レーベルからリリースされたCDの音質は、かつて私の体験した同オケの生の響きの感触にかなり近いものであるように思えます(少なくとも、テルデックよりは音場感がナチュラルに録られている感じがする)。

そういうわけで、今回の自主制作レーベルのCDリリースは、このオーケストラ固有の音響面での魅力を高感度に聴き手に伝えるという点で、好ましいものではないかと感じられますし、その意味でも私は今後の継続リリースに大いに期待したいと思っています。

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