バレンボイム/シュターツカペレ・ベルリンによるブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」


ブルックナー 交響曲第4番「ロマンティック」
 バレンボイム/シュターツカペレ・ベルリン
 SKB自主制作 2008年ライヴ SKB0001
SKB0001

シュターツカペレ・ベルリン自主制作レーベルから先般リリースされた、ダニエル・バレンボイム指揮シュターツカペレ・ベルリンの演奏によるブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」のCDを聴きました。2008年10月、ベルリンのフィルハーモニーでのライヴ録りです。

私がバレンボイム率いるシュターツカペレ・ベルリンの実演を最初に耳にしたのは2005年2月の来日公演でした。前半がバレンボイムの弾き振りでベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番、後半がシューマンの2番という演目でしたが、特にオーケストラの響きが保持する深々とした奥行きのある諧調に聴いていて惹きつけられたことを今でも覚えています。

2005-2-17

それはおそらく現在では耳にし難くなったような、おそらく古き良き時代から引き継がれているドイツのトラディショナルな響きと思えるような独特の感触であって、これほどの奥深い伝統を感じさせるオーケストラが21世紀のヨーロッパに現存していたのかという軽い衝撃を覚えました。

そして今回リリースされたブルックナーのCDを聴いてみたところが、私には上記のコンサートで感じた驚きが再び呼び起されるような印象を受けました。このシュターツカペレ・ベルリン自主制作に係る録音からは、このオーケストラの持つ響きの特質が十二分に捉えられているように思われ、そのいぶし銀ともいうべき質実剛健な美しさに、実演同様に聴いていて惹きつけられっぱなしでしたし、少なくとも、このコンビが以前テルデックに録音していた一連のCDに聴かれる響きとは明らかに諧調が違っているように思えます。

このブルックナーにおいてバレンボイムは全体に遅めのテンポを基調に、重心の低く安定したオーケストラバランスを維持しつつ、実に勇壮なブルックナーを形成せしめていて間然とせず、わけてもオーケストラ低弦部とホルンパートの充実感たるや目覚ましく、ここぞという時に必ずホルンの馥郁たる響きが、ピラミッド型の重厚なアンサンブルの頂点で整然と鳴り響く様は聴いていて爽快を極める聴きものと思えますし、全編を通しても、このオケ特有の稀にみるほどに魅力的なオーケストラサウンドの醍醐味が充溢し、その響きに身を任せているだけで心が満ち足りるような思いでした。

このように、このブルックナーを聴いて私は主としてオーケストラの深みのある響きに対し得難い魅力を覚えましたが、しかし考えてみれば、それも同オーケストラのシェフを長きに渡り務めているバレンボイムの手腕あってのものと思われ、このオーケストラの音響的な特性を知り尽くした指揮者にして、初めてここまでの奥行きや陰影の深さが可能になるのではないかと思えます。また、これがバレンボイムの同曲3度目の録音であり自家薬籠中ともいうべき作品である点も大きいような気がします。

このブルックナーの新譜はバレンボイム3度目のブルックナー交響曲全集の嚆矢だそうです。ブルックナー交響曲全集を3度も録音したのは日本の朝比奈隆のみ(70年、80年、90年代に一回ずつ録音)ですが、世界レベルのディストリビュートとしてはバレンボイムが初の偉業となるかもしれません。いずれにしても、このシリーズの今後のリリースに期待したいと思います。

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