エッシェンバッハ/パリ管によるブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」


ブルックナー 交響曲第4番「ロマンティック」
 エッシェンバッハ/パリ管弦楽団
 オンディーヌ 2003年ライブ ODE1030-2
ODE1030-2

クリストフ・エッシェンバッハ指揮パリ管弦楽団の演奏によるブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」のCDを聴きました。2003年2月のパリ、モガドール劇場でのライヴ録りです。

これは2004年にオンディーヌからリリースされたCDで、新譜ではありませんが、先週ブログに掲載したエッシェンバッハ/ロンドン・フィルのブルックナー6番の新譜が大変に感銘深い演奏であったことから、エッシェンバッハの直近のブルックナーの録音を聴きたいと思い、先週末にHMVにオーダーして取り寄せたものです。

さっそく聴いてみましたが、これはブルックナーとしてはオーソドックスというより、どちらかというと個性的な部類に入る演奏と感じられ、あまり耳にしないような新鮮な景観が聴いていて随所に耳を捉えます。

例えば第1楽章冒頭の第1テーマ部のテンポはスロー調が際立っていて、それがパリ管のアンサンブル独特の、なまめかしいくらいに艶やかな色彩感を増幅し、それが驚くほどの美彩を放っていますが、この調子でこのまま行くのかと思いきや(3:21)からの第2テーマ以降はオーソドックスなテンポ取りに移行されます。このため逆に第1テーマ部の強い余韻が楽章を通して後々まで持続するような感じがします。

テンポ以外の面で特徴的なのは、弦の刻みの細密ぶりでしょうか。冒頭のトレモロから克明感がすこぶる立っていますし、(10:07)あたりのクレッシェンドの細やかさなども、実に鮮やかです。全体的にパリ管特有の管パートの音色の美質も良く出ていて、例えば(8:22)からの木管のリレーなどは幽艶ともいうべき美しさに染め上げられていて思わず耳をそばだたせられます。

反面、全体的に弦パートの豪壮感がおおむね乏しい点と、アーティキュレーションが軒並みまろやかで時に厳しさを欠く点と、フォルテッシモでの屈強感の物足りなさ、といったあたりは、一般的なブルックナー演奏のイメージからすれば多少の違和感を聴き手に覚えさせるようにも思えます。それとアンサンブルの色彩的特徴を含め、少なくともドイツ音楽としてのブルックナーとしては異色の肌合いの演奏とも思えるものですが、それでも聴いていて思わず耳が捉えられる瞬間が多いのは事実です。こういうフランス風(というべきか?)の演奏スタイルでのブルックナーというのは、少なくとも私にはかなり新鮮な体験でした。

さらに思ったのは、同じブルックナーでも先のロンドン・フィルとの6番での、艶やかさよりも透明感を印象づける、なにか世俗を超越したような美しさとは、ずいぶんと色彩的な肌合いが違うなと感じたことで、これはおそらく各々のオーケストラが持つアンサンブルの固有の色彩性というものを、エッシェンバッハが自己の表現のうちに取り込みながら最大限に活用するようなコンセプトの賜物ではないかと思えます。

であるならば、例えばエッシェンバッハがウィーン・フィルを振った場合には、ウィーン・フィル固有の色彩性というものをエッシェンバッハが最大限に活用する方向での演奏が展開されるのでしょうか。2011年の今年のウィーン・フィル来日公演ではエッシェンバッハの指揮が予定されています(演目はブルックナーではないかもしれませんが)。

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