ラトル/ウィーン・フィルによるベートーヴェン交響曲第9番「合唱」


ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」
 ラトル/ウィーン・フィル
 EMIクラシックス 2002年ライヴ TOCE55505
TOCE55505

年の瀬も押し詰まりました。どうやら今年は年末恒例の「第9」の演奏会には行かずじまいになりそうです。何かと忙しかったし、去年のフルシャのような、どうしてもこの指揮者で「第9」を聴きたいという公演もなかったし、、

しかし年末に「第9」を聴かないというのも、やはり据わりが悪い。それならばCDというわけで、サイモン・ラトル指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏による「第9」のCDを聴きました。2002年ウィーン、ムジークフェラインザールでのライヴです。

一時代前の巨匠指揮者の第9を連想させるくらいの、大胆なアゴーギグ動き、しかし、神経質なくらい繊細な統制力で刻まれるデュナーミクの動き、これらが奇跡的とも思える融合を示す地点において、「第9」の既存の演奏様式に対するラトルの旺盛な反骨精神の発露が逞しい。それがウィーン・フィルの根元的な鳴動力に照応し、掛け替えのない表出力に昇華された、その意味で希有の演奏であり、この「第9」には何度聴いても色褪せない魅力を感じます。

しかし、このラトル盤がウィーン・フィルの、21世紀になってから唯一の「第9」のCDという現状には、いささか寂しいものを感じます。20世紀に録音されたウィーン・フィルの「第9」のCDには、何といってもフルトヴェングラー、それにベームにそれぞれ何種類かあって、さらにワインガルトナー、ワルター、シュミット=イッセルシュテット、バーンスタイン、アバドと、錚々たる指揮者の録音がリリースされている。それが21世紀になり、このラトルのあと、パタリとリリースが無い。ようやく来年あたりティーレマン指揮のものが出るみたいですが、それにしても、と思います。せっかく録音技術が格段に進歩している現在なのに、これでは宝の持ち腐れではないかという気もしますし。CDが売れないから録音しない、と言う前に、そもそも録音しなければ売れませんよ、とメジャーレーベルに言いたいです。

コメント

 
この演奏、実はムジークフェラインザールで生を聴いています。ウィーン芸術週間の一環でしたが、5月に聞いたからでしょうか、何だかいつもと違う第九に聞こえたのを思い出します。CDで聞き返してみても分かるのですが、ラトルは合唱(声楽パート)をいくらか弄っています。当時はベーレンライター版を知りませんでしたが、相変わらずラトルは弄くっているなぁ程度にしか観想をもちませんでしたが、ムジークフェラインの音響も相俟って斬新に聞こえたのは確かです。CDは音が悪いですねぇ。ラトルはベルリンフィルとの全集を早く聞いてみたいものです。
りゅうたろう様 
コメント有難うございます。

> ラトルは合唱(声楽パート)をいくらか弄っています。
> ムジークフェラインの音響も相俟って斬新に
> 聞こえたのは確かです。

おっしゃる通りで、所々いじられています。特に終楽章、第769小節のアルトとソプラノの「Freude」を「Tochter」に変えているのがビックリです。ここの歌詞はブライトコプフ、ベーレンライターともに「Freude」ですし、「Tochter」と歌わせているのは多分ラトルだけでしょうね。

> CDは音が悪いですねぇ。ラトルはベルリンフィルと
> の全集を早く聞いてみたいものです。

まあEMIですし、音質に関してはそれほど良くないです。ラトル/ベルリン・フィルの録音に関しては、私は出来ればEMI以外のレーベルで聴けたらと思っています。

コメント

 
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