ブーレーズ/ニューヨーク・フィルハーモニックによるストラヴィンスキーのバレエ音楽「火の鳥」全曲


ストラヴィンスキー バレエ音楽「火の鳥」全曲
 ブーレーズ/ニューヨーク・フィルハーモニック
 ソニー・クラシカル 1975年 SRCR9221
SRCR9221

さすがに年末は何かと忙しい、、ので、昨日に続いて今回も雑談。なお、またしてもブーレーズですが昨日とは全然べつの話題です。

先月カンブルラン/読売日響の演奏会でストラヴィンスキーのバレエ音楽「火の鳥」の1910年版が取り上げられたのを聴きました。その感想はブログに書いていますが、それをホールで聴いていた時このブーレーズの録音した「火の鳥」のCDのことが、ふと思い出されたという話です。

と言っても、とくに演奏が似ているという話ではなく、思い出されたのは実はCDのライナーノートに書かれていた以下のくだりです。

今世紀の名作のひとつに数えられストラヴィンスキーの栄光の「3大バレエ」の先頭を飾る「火の鳥」。おそらく、クラシック・ファンといわれる人で、この曲を聴いたことがない、という人は、まずあるまい。もちろん、わたくし自身だって聴いたことがある、どころのはなしではないし、この曲についてかなり専門的な知識をもっていたつもりだった・・・。
 そう、まさしく「つもりだった」のだ、あのときまでは。あのとき、つまり1975年5月24日までの夜までは。この日はエリザベス女王の来日記念行事の一環であるBBC交響楽団の日本での最後の演奏会が行われた。もちろん指揮はブレーズで、場所は東京・NHKホール。
・・・
演奏会のプログラムは、ドビュッシーのバレエ音楽「遊戯」、ブレーズの新作「リチュエル--マデルナの追憶のために」、そしてストラヴィンスキーのバレエ音楽「火の鳥」。このプログラムで、じつはわたくしが期待したのはまずブレーズの新作であり、ついでレコードの名演でおなじみのドビュッシー、そして、ストラヴィンスキーは、まあオマケだな、というような気でいたのだ。期待した2曲については、当然わたくしはそれなりの感想をもったが、ここはそれを述べる場ではないだろう。問題は「火の鳥」だ。

このライナーノートは音楽評論家M氏によるものですが、これを読んだとき、てっきり私は、この時のブーレーズ/BBC響の披歴した「火の鳥」の実演が、あまりに素晴らしかったので、それまで著者が同曲を知った「つもり」に過ぎなかったことを痛感した、みたいな、よくある評論の筋道なのかなと思いました。

ところが、、、

 エリザベス女王の写真とメッセージが冒頭をかざる豪華なプログラムには、バレエ組曲「火の鳥」・・とある。これはわたくしたちにもっともなじみ深い1919年版の組曲「火の鳥」である。もっとも、ブレーズが以前(1967年)にBBC交響楽団で録音した「組曲」は1911年版なので、そうした点では1919年版だということにいささか興味はあった。
 ところが、聴き進むにつれて、それは「聴いたことがない」火の鳥だということが分かった。だいいち、きわめて次元の低いはなしだが、「切れ目」がないのである。そして1919年版ではピアノになっているところでチェレスタが響く・・そして、わたくしはこのとき、はじめてストラヴィンスキーのバレエ音楽「火の鳥」をほんとうに聴いたのだった。つまり、もちろんこのときの演奏が1910年の全曲版だったのだ
 正直なところ、それが全曲版だと知ったのは後のことで、そのときにはただ、1919年版とも、1911年版の「組曲」ともちがう「火の鳥」を聴いたのだが、それはだんぜん「違う」ものだった。・・・

・・というわけで、なんと著者が1910年の全曲版「火の鳥」自体を全く知らなかったという、驚くべき?オチでした。今では当たり前のように演奏されている1910年版が当時いかに人口に膾炙していなかったか、が伺われるエピソードだと思います。

なお、このピエール・ブーレーズ指揮ニューヨーク・フィルハーモニックの演奏によるストラヴィンスキー「火の鳥」はブーレーズの代表盤のひとつとして有名な録音で、どのような聴かせどころであろうと徹底的に冷静なブーレーズの、とことんまで醒めた指揮ぶりが異彩を放つ演奏です。

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