チョン・ミュンフン/フランス国立放送フィルによるストラヴィンスキー「春の祭典」とムソルグスキー「展覧会の絵」



ストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典」
&ムソルグスキー(ラヴェル編) 組曲「展覧会の絵」
 チョン・ミュンフン/フランス国立放送フィル
 グラモフォン 2007年・08年 4803653
4803653
 
グラモフォンから先般リリースされた、チョン・ミュンフン指揮フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団の演奏による、ストラヴィンスキー「春の祭典」とムソルグスキー「展覧会の絵」のCDを聴きました。「春の祭典」は1947年版による演奏で2007年3月に録音されており、「展覧会の絵」(ラヴェル編)は2008年12月に録音されています。
 
チョン・ミュンフンは2000年からフランス国立放送フィルの音楽監督を務めており、しばしば来日公演を行っていますが、私は2004年秋のミュンフン/フランス国立放送フィル来日公演をサントリーホールで聴きました。

2004-09-14

この時はプロコフィエフの組曲「ロメオとジュリエット」とサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」というプログラムでしたが、ミュンフンの鋭敏な指揮ぶりから展開されるアンサンブルの尖鋭な音色の快楽とオーケストラの舌を巻くほどのレスポンス感度などに聴いていて惹き込まれたものの、フランス系オケとしては肝心のパート同士のハーモニーの溶け合いの美しさが万全とは言い難く、そのあたりに軽い違和感を覚えてホールを後にしたことを覚えています。ただ、これは私の席がステージに近すぎたせいかなという気もしました。

今回リリースのCDは私が聴いた当時の公演と同様にロシアものとフランスものを併せた構成ですので興味を引かれて購入しました。

それで聴いてみると「春の祭典」は特に奇をてらわずオースドックスなテンポや強弱の動きをベースに、全体的にフランスのオケ特有のソフトでエレガントな響きの魅惑を重視するというよりは、むしろミュンフンの現代的な感性からくる尖鋭な造形感覚を前面に押し出したコンセプトの伺われる演奏で、実演時と同様にパート相互の溶け合いは今一つ物足りないもののフレージングの切れ味を重視した運用の爽快感と音響自体の洗練を尽くした魅惑と、ここぞという時に披歴されるエネルギー全開というくらいに強烈味の乗ったダイナミックな迫力の充実感、それにオケを完全に掌握した指揮者の棒で繰り広げられる大編成のオーケストラの巧みな表情の変化を伴う一体感に満ちたドライブを聴く愉悦味などいずれも素晴らしくて惹き込まれます。

これが「展覧会の絵」になると「春の祭典」同様やはりオースドックスなテンポや強弱の動きをベースとしながら、そこでの音色の現代的な尖鋭感を適度に保持しながらも、むしろ管パート同士の音色のブレンドを大事にしつつ柔らかくて美しい肌ざわりのハーモニーからとろける様な色彩の表出が随所に聴かれるなど、フランスのオケに我々が期待する魅惑的な響きの醍醐味が前面に現れ出し、いわばハルサイでのスラヴ的な色彩の強烈味の強調から一転ラヴェルの味わいを重視したようなアンサンブル展開が披歴されており、その切り替えの鮮やかさに驚かされるとともにこの作品を本場フランスのオケで聴く音響的醍醐味にすっかり魅了させられてしまいました。

この「展覧会の絵」を聴く限り、かつて私がサントリーの実演で聴いたサン=サーンスでの物足りなさは結局のところ私の席位置の悪さが要因なのかなと考えたりもしましたが、実演の2004年当時よりも2008年の録音時の方がミュンフンのオーケストラに対する掌握の水準が向上していて、このオーケストラの潜在的なポテンシャルをフルに引き出すまでに至ったのではないかという気もします。

久々にミュンフン/フランス国立放送フィルの充実度満点の演奏を堪能しました。このコンビの次回以降のリリースにも注目していこうと思います。

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