アルテミス四重奏団によるベートーヴェンの弦楽四重奏曲第1番と第12番


ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第1番、第12番
 アルテミス四重奏団
 ヴァージンクラシックス 2010年 6286590
6286590

英ヴァージンクラシックスから先月リリースされた、アルテミス四重奏団の演奏によるベートーヴェンの弦楽四重奏曲第1番と第12番のCDを聴きました。

現在ベートーヴェンのカルテットの全曲録音を進めているアルテミス四重奏団としては今年4月にリリースされた弦楽四重奏曲第6番&第13番に続くリリースになりますが、その前回のCDが大変に素晴らしい演奏でしたので、今回の新譜も待ってましたとばかり購入しました。

それで聴いてみたところ、2曲ともに前回同様に素晴らしいベートーヴェンが披歴されていて大いに感銘を受けました。独特のスピード感のあるテンポから、アルテミスならではの贅肉を絞り抜いたような生々しさが導出する、ヴィヴィッドなハーモニーの肌合いが目覚ましく、それがため聴いていて至る所に驚かされるような表情の強さがあり、それを通して聴き慣れたベートーヴェンの作品が、まるで新しい姿で立ち現われたような新鮮な印象に事欠かない、そんな演奏となっています。

特に私が最も驚きを禁じえなかったのが、弦楽四重奏曲第1番の第1楽章、その展開部の山場(5:30)でのヴァイオリンの壮絶なくらいの絶叫ぶりで、正直これはいくらなんでも、このベートーヴェン最初期のカルテットに対しては、やりすぎではないかと、思ったくらいでしたが、しかし考えてみれば、このアルテミスの演奏で耳にする比類無いほどの音楽の高潮力と起伏感こそ、ベートーヴェンの音楽に潜在する革命精神に、絶妙に同調するものではないかという気もします。いずれにしても、この弦楽四重奏曲第1番という曲を、これほどに表現主義的なテイストで描画した演奏というのは覚えがなく、まるで初めて聴く作品のような感さえあり、実に新鮮です。しかし聴き手によっては少し息苦しさが勝ち過ぎ、この曲想を考えると、もっとリラックスした演奏で聴きたいと思っても不思議ではないかもしれません。

弦楽四重奏曲第12番の演奏においても、ベートーヴェン晩年の複雑に交錯する曲趣を、強度のリアリティをもって鮮烈に照射したような趣きが素晴らしく、聴いていて実に強く心を揺さぶられる演奏でした。

今回リリースのCDをもって、アルテミス四重奏団によるベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集の完成まで、あと第3番・第5番・第10番・第16番の4曲のレコーディングを残すのみとなりました。これまで同様、今後の録音の動向に大きな関心を寄せたいと思います。

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