ユロフスキ/ロンドン・フィルによるホルストの組曲「惑星」


ホルスト 組曲「惑星」
 ユロフスキ/ロンドン・フィル
 ロンドン・フィル自主制作 2009年ライヴ LPO0047
LPO0047

ロンドン・フィル自主制作レーベルより先月リリースされた、ヴラディーミル・ユロフスキ指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるホルスト・組曲「惑星」のCDを聴きました。2009年5月、ロンドンのロイヤル・フェスティヴァル・ホールでのライヴです。

ユロフスキは以前から私が注目している指揮者の一人で、これまで主にロンドン・フィル自主制作レーベルを中心に、ライヴ盤が断続的にリリースがされています。前回のリリースは今年3月のブラームス交響曲第1番・第2番でしたが、今回はイギリスゆかりのホルストの「惑星」です。

聴いてみると、まず最初の火星での目覚ましいまでの快速テンポに驚かされました。ユロフスキらしい竹を割ったような高速テンポですが、ここでの凄いハイ・スピードで展開される怒涛のようなアンサンブルの展開は、まるで敵陣に切り込み敵兵を薙ぎ倒していく勇猛な若武者のイメージがオーバーラップし、強烈な印象を与えられます。実際この火星のタイムを見ると6分28秒。ここは普通8分前後、速くても7分切るか切らないかというタイムですので、やはりユロフスキのテンポが際立っていることが伺われます。

続く金星と水星でも軽やかなフットワークから小気味よくアンサンブルを走らせ、聴いていて爽快ですし(とくに金星はタイムが7分を切っていて速さが際立っている)、木星や土星などでも、やはりテンポは相当に速めですが、ただ速いだけの上滑りな演奏とも一線を画していて、響きは明晰そのものであり、アンサンブルの内声がはっきりと聴き取れるなど、存分にオーケストラを鳴らし切った大迫力のスペクタクルな音画を描き切っているあたりも見事のひとことです。木星など、このテンポで、よくここまで鳴らし切れるなと聴いていて感心させられました。

このユロフスキの「惑星」は型破りとも思えるテンポ感をベースに展開される音楽の推進的かつドラマティックな趣きが斬新で、文句なく惹き込まれましたが、少し気になるのは、前回リリースのブラームスや、前々回リリースのチャイコフスキーなどでは今一つユロフスキならではといった個性味の発露が弱く感じられたところが、今回は一転して強烈なまでに個性的であることでしょうか。ユロフスキの潜在的な実力からすると、「惑星」のようなエンターテイメント志向の強い作品だけでなく、クラシック王道の演目でも、これくらいの型破りな表現を聴かせてほしいという気も正直します。

その意味では、ユロフスキの次回以降のリリースでも今回の「惑星」のようなフレッシュな演奏を期待したいと思います。

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