ルプーとプレヴィン/ロンドン響によるシューマンとグリーグのピアノ協奏曲


シューマン ピアノ協奏曲&グリーグ ピアノ協奏曲
 ルプー(pf) プレヴィン/ロンドン交響楽団
 デッカ 1973年 POCL9842
POCL9842

今日はサントリーホールでラドゥ・ルプーのピアノ・リサイタルを聴いてきました。演目はヤナーチェクの・・

・・と、本来なら今日のブログ更新で書いていたはずのところですが、昨日も書きましたように、ルプーのピアノ・リサイタルはピアニスト急病のため、残念ながら流れてしまいました。

仕方なしとばかり、代わりに今夜はルプーの最も代表的な録音のひとつである、アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団の演奏をバックとしたシューマンとグリーグのピアノ協奏曲のCDを聴きました。もう15年くらい前に廉価盤で購入したものです。

あまりにも有名な録音ですし、いまさら感想を書くのも憚られるくらいですが、こうして改めて聴いてみると、いい演奏だなとしみじみと思いました。とくにグリーグが素晴らしく、清冽なリリシズムをピアニズムの特徴とするルプーの持ち味が良く活かされた演奏でありながら、もともと詩情を極めたかような同曲に対する演奏アプローチとしても、聴いていて詩情過剰に流れる嫌いがない。ここには楽想とピアニズムとの幸福な調和と一体感が息づいていて、それが聴き手を爽やかな感動の境地に導いてくれる、そんな演奏のように思います。

しかし、いくら本CDの演奏が素晴らしいからといって、それで今夜予定されていたリサイタルの代替とはなり得ない。何しろ40年近く前の録音ですし、もう20年近く前から録音を一切リリースしていない、2010年現在の彼のピアニズムの様相を、彼の残した録音から推し量ることは難しいはず、、

それにルプーの場合、周知のように「千人に一人のリリシスト」という異名の通り、当代きっての抒情派ピアニストという「レッテル」を貼られています。その形容からくる先入観と、現在のピアニズムの実態との間に、おそらく少なからぬ乖離が生じているのではないかと私には思えます。私が最近コンサートに接して大いに感銘を受けた、そしてルプーと同じように録音活動から長らく離れている、ポゴレリッチとツィメルマンの現在のピアニズムがそうだったように、、、

ところで今回のリサイタルの主催元のホームページ上に、「ルプー、グラモフォン誌にて『ピアノ界のカルロス・クライバー』と評される」という記事が掲載されているのを以前みかけました。

これは今年7月号のグラモフォン誌に書かれた評論のようで「もしもピアニスト、ラドゥ・ルプーの芸術を一言で表すならば、彼は『ピアノ界のカルロス・クライバー』と言えよう。その音楽の向かう方向性がしっかりと把握され、細部に至るまでの完璧さと豊かな音楽的想像力が一体となった音楽がそこにはある。ルプーはまさに磨き抜かれた芸術家なのだ。・・」という書き出しで始まり、以下、ルプーがデッカに残した一連の録音に対する賛辞が連ねられています。

私は正直それを読んでも、(とくにクライバーとの共通性というのが)いまいちピンと来なかったところ、今回のキャンセルで、もしかして、そういうことか?と腑に落ちた気がしました。だからといって稀代のキャンセル魔クライバーに喩えた時点で、今回のルプーのキャンセルを予期していたわけでもないと思いますが、かつてクライバーのキャンセルに遭って残念な思いをした方々の気持ちなりが少しだけ分かったような気もします。

以上、今日は何だか取り留めもないことを書き連ねてしまいました。明日の更新からは、いつも通りの新譜感想の方に戻るつもりです。

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