新国立劇場の新体制に関する雑感


おととい(10/6)の朝日新聞の夕刊を読んでいたところ、このたび新国立劇場のオペラ部門芸術監督に就任した指揮者の尾高忠明氏のインタヴュー記事が掲載されていました。主に今季からの劇場運営に向けての抱負が語られています。(なお、同じ記事が朝日新聞のウェブサイトにも掲載されています)。

Asahi-Newspaper10-07

そこで尾高氏が語っている運営方針の骨子を抜粋しますと、以下のようなものになります。

・最大の目標は年間公演回数を増やすこと。ここ数年は約60公演で、オペラが上演されていない日の方が多い。「フィガロ、カルメン、椿姫……こういった定番が一度も上演されない年がある、ということがそもそもおかしい」

・歌手や指揮者には日本人を積極的に起用する考えだ。新日本フィルハーモニー交響楽団と音楽監督のアルミンクをピットに入れ、ウィーン国立歌劇場で才能を見いだした甲斐栄次郎を抜擢するなど、着々と独自の視点を盛り込む。「いずれは全員日本人での舞台をつくりたい」

・欧州並みに、門戸を広げる安い席も増やしたいところ。立ち見席の設置にもこだわる。「少しでも生のオペラの空気に触れたいと思って詰めかける人々の熱気こそが劇場を育てる」と確信している。

つまり年間公演回数を増やす、日本人を積極的に起用、立ち見席の設置といったあたりに意欲を示しているのですが、その記事には同時に以下のような、かなり心配なことも書かれています。

 事業仕分け後の予算1割カットなど、厳しい状況での船出で、問題は山積みだ。倉庫も現在は千葉・銚子にあるのみで、レパートリーを増やしたくても再演のために舞台装置をとっておく場所がない。「トーキョー・リング」として世界的にも注目されたキース・ウォーナー演出のワーグナー「ニーベルングの指環」4部作の装置も、すでに取り壊された。

このような厳しい劇場運営環境に対し、尾高氏の抱負の中で、収益改善に対する方策が特に何も示されていないのが気になるところです。立ち見席の設置などは、むしろ収益低下を招きそうな気もしますし、年間公演回数を増やすにしても、現状の赤字体質の改善なしには実現は難しいように思えますが、どうなのでしょうか。

新国立劇場には私も毎年のように足を運んでおり(今年に入ってからだと「ジークフリート」「愛の妙薬」「カルメン」を観てますし、年末の「トリスタンとイゾルデ」も観に行く予定です)、今後の尾高体制に向ける期待も大きいところですが、どうも上に掲げられたビジョンを実現するための方策が不明確に思えてしまうのが気掛かりです。

いずれにしても、なんらかの打開策を見出さないと難しいのではないかと思いますが、今後も新国立劇場が日本のオペラファンにとって良質な舞台を提供する場であり続けることを願いたいと思います。

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