読書間奏・ベスト新書の「新書がベスト」


久々に「読書間奏」のエントリーです。おもに通勤電車の中で読みました。

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小飼弾・著「新書がベスト」
ベスト新書 

今年の6月に発売の新書で、著者は月間で100万ページビューを集める著名な書評ブログを運営されているとのこと。

テーマは読書のためのノウハウですが、読むべき対象を「新書」に限定している点がユニークです。本書の構成を見ますと、まず序章があり、第一章「新書の買い方、読み方」、第二章「新書を10倍生かす方法」、第三章「新書レーベルめった斬り!」、終章「新書と電子ブックの未来」。全体を通して新書を情報ツールとして最大限に活かすための読み方、新書の楽しみ方のようなことが書かれています。

特に最初の序章で書かれていることが印象深く、それは「なぜ今、本を読まなければならないのか」と「新書以外は買わなくていい」という2つの部分からなりますが、前者の部分では、インターネットが発達して誰でも膨大な情報にアクセスできるようになった今こそ、むしろ私たちは積極的に本を読まなければならない、という逆説的な主張が述べられています。

普通に考えるなら、インターネットが発達して情報に手軽にアクセスできるようになったのなら、別に読書など必要ないのではないか、そこまで言わなくとも、少なくとも読書の価値は以前よりも下がっているのではないか、と思いがちですが、そうではないと著者は言います。

その理由を要約すると以下のようになりますが、最終的に読み終えた時点でも、ここを読んだ時のインパクトが私にとって特に大きかったような気がします。

・確かにインターネット上には日々、膨大な量の情報が流れているものの、向こうから積極的にプッシュされてくる情報を眺めているだけでは意味がなく、それだと結局は情報弱者に転落するだろう。

・なぜなら、そのような情報は今やあっという間にコピーされて広まり、すぐ陳腐化するので、誰もが簡単に手に入れられる情報を貯め込んでいるだけでは何ら強みにならないからだ。

・多様な考え方を取り入れつつ自分なりの「知の体系」を構築するには、自分から積極的に情報を取らなくてはならず、この点において本に勝るメディアはない。

・ネット上に漫然と散らばっているだけの情報に大きな価値はなく、むしろ一人の著者の独自の考え方なりが詰め込まれた本に書かれた「偏った情報」こそが、これからは情報として大きな価値を帯びるようになる。


次の「新書以外は買わなくていい」の部分では、「ハードカバーは滅びてしまえ」という、かなり過激な主張まで披歴されていますが、ここでは主にハードカバーに対する新書の優位性について論じられています。何より価格が安く、「ハズレ」を引いてもダメージが少ない点、持ち運びなどの取り扱いが便利なので時と場所を選ばず読み易い点、そしてハードカバーの方が新書よりも内容の問われるメディアである点(新書はハードカバーのように装丁で誤魔化しが効かないし、ひとたび新書に組み込まれるとハードカバーと違って後々まで出版が継続されるので、自ずと内容に対する出版社の吟味が厳しくなるから)、などがその優位性として挙げられています。

確かに理にかなった主張ですが、ただ本書の言うとおり今後は新書以外は買わないかというと、ハードカバーにも優れた著作は少なくないと思うので、さすがにそこまではしないと思いますが、私の場合おおむねハードカバーは主に自宅でじっくり読むのに向いた本、新書は電車などの自宅外で読むのに向いた本、というように漠然と切り分けていたので、そうとは限らないという視点が新鮮でした。

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