サヴァール/ル・コンセール・デ・ナシオンによる「ルイ15世時代のコンセール・スピリチュエル」


「ルイ15世時代のコンセール・スピリチュエル」
 サヴァール/ル・コンセール・デ・ナシオン
 アリア・ヴォックス 2010年 AVSA9877
AVSA9877

アリア・ヴォックスから今月リリースされた、ジョルディ・サヴァール指揮ル・コンセール・デ・ナシオンの演奏による「ルイ15世時代のコンセール・スピリチュエル」と題されたCDを聴きました。2010年2月、カタルーニャ自治州カルドーナ城参事会教会での録音です。

収録曲は以下の通りです。

①コレッリ 合奏協奏曲Op.6-4
②テレマン 組曲ニ長調TWV55:D6
③テレマン フラウト・ドルチェとヴィオラ・ダ・ガンバのための二重協奏曲TWV52:a1
④テレマン ターフェルムジーク第1集より組曲TWV55:e1
⑤ラモー  「優雅なインドの国々」管弦楽組曲(抜粋)

アルバムのタイトルにある「コンセール・スピリチュエル」というのは1725年にパリで生まれた市民のための音楽会の場のことですが、これは今日では普通にコンサートと呼ばれる、聴衆に王侯貴族ではなく民衆を想定した「パブリック・コンサート」の元祖として知られており、フランス革命後の1790年に消滅するまでパリ市民のための音楽会の場を提供し続けたとされています。

ちなみにモーツァルトがパリに楽旅した際、コンセール・スピリチュエルのオーケストラのために交響曲第31番「パリ」を作曲したエピソードは有名です。この時にコンセール・スピリチュエルの支配人ジャン・ル・グロが、初演時の第2楽章アンダンテに対しパリの聴衆に合わないとしてNGを出したためモーツァルトは作り直すことになり、その結果この交響曲には「初版稿」と「初演稿」という2種類の版が存在することになりました。

サヴァールの主宰するピリオドアンサンブルのル・コンセール・デ・ナシオンは1989年の結成以来、アストレーを中心にバロック作品の録音を継続しているところですが、最近はリリース頻度が緩やかになってきており、今回のバロック・アルバムも、このコンビとしては久しぶりの録音になります。

さっそく聴いてみると、いずれもサヴァールとル・コンセール・デ・ナシオンならではの、アンサンブルの極上ともいうべき響きの肌触りが素晴らしく、少人数の弦のパートを中核に他パートも含む響きの相互の溶け合いが、完璧な調和の中で実現されていて、ため息が出るほどのハーモニーの美感が充溢する演奏で、何とみずみずしく爽快なバロック・サウンドだろうと、聴いていて心底から感服させられました。これにはおそらくSACDの高音質の貢献も大きいのでしょう。

それにしても、このコンビの1990年代の録音には、古楽器アンサンブルとしてはレガートの使用比率の高いものが多く、いわゆるパンチの効き具合に関しては大人しい演奏も少なくありませんでしたが、それ以上に音響の純然たる美感の練り上げが他の追随を許さないレベルでした。しかし、この2010年の最新録音においては、透明で軽やかな響きと柔らかな音色の肌触りをベースとした、かつての音響美を阻害しない範囲で、強めのアタックや勢いを効かせたフレージングが随所に加わり、結果アンサンブルの鋭角感が相対的に増しているように感じます。

その意味では、このコンビの熟成期における録音と言えるのかもしれません。ダイナミクスとエレガンシーとが絶妙に調和し、かつ拮抗したようなバランス、その意味で最高度に音楽的な表現のバロック演奏がここに実現されているように思えます。

以上、久々に「サヴァール・サウンド」を満喫しました。このコンビの今後のリリースにも注目していきたいと思います。

コメント

 

コメント

 
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

Powered by FC2 Blog
Copyright © クラシックCD感想メモ All Rights Reserved.