真夏の奥日光とカッチェンのベートーヴェン


今日まで二泊三日で奥日光へ避暑に行っていました。

奥日光といっても、その入口にあたる中禅寺湖の周辺が今回の避暑の中心地。

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奥日光は東京から近場で、気軽に行ける避暑地として便利。中禅寺湖のあたりは標高1269メートルという高地に位置するため、夏でも相当に涼しい。

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華厳の滝(観瀑台から撮影)

 昔し巌頭(がんとう)の吟(ぎん)を遺して、五十丈の飛瀑を直下して急湍(きゅうたん)に赴いた青年がある。余の視るところにては、彼の青年は美の一字のために、捨つべからざる命を捨てたるものと思う。死そのものは洵(まこと)に壮烈である、ただその死を促がすの動機に至っては解しがたい。されども死そのものの壮烈をだに体し得ざるものが、いかにして藤村子(ふじむらし)の所作を嗤い得べき。彼らは壮烈の最後を遂ぐるの情趣を味(あじわ)い得ざるが故に、たとい正当の事情のもとにも、とうてい壮烈の最後を遂げ得べからざる制限ある点において、藤村子よりは人格として劣等であるから、嗤う権利がないものと余は主張する。
                   夏目漱石「草枕」より

あとは東照宮に参拝し、霧降高原を散策し(ここには霧降の滝がある)、男体山に途中まで登り、ついでに戦場ヶ原の方まで足を伸ばしました。標高の比較的低い東照宮以外は、軒並み涼しくて真夏とは思えないくらい。もう少し余裕があれば湯元の方まで行きたかったですが、二泊三日では、このあたりが限界。まあ、快適な避暑旅行でした。

明日から仕事なので今日の夕方早めに東京へ引き返してみると、こっちは相変わらず暑いこと暑いこと。また奥日光へ戻りたくなりました(笑)。

帰宅するや何か聴きたくなって、ラックから取り出したのがジュリアス・カッチェンのベートーヴェン・ピアノ協奏曲全集でした。

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ベートーヴェン ピアノ協奏曲全集
 カッチェン(pf) ガンバ/ロンドン交響楽団
 デッカ 1958~65年 4758449

私の愛聴盤のひとつで、こういう場合やはり新譜よりも聴き慣れたCDの方に手が伸びます。引き締まった表情でスケール味豊かに描かれる、聴いていて胸のすくようなベートーヴェン。カッチェンとオーケストラの織り成す表現力のある響きが何とも言えない。

ところで漱石の方のエントリーですが、取りあえず当初の予定も過ぎましたし、最終的に休止するにしても、別に休止を待っているような人もいるとも思えず、急ぐ必要性も特段ないかと思いますので、寅彦の時のようなカツカツしたペースではなく、少し落ち着いたペースで進めようと思います。

コメント

 
hkawaharaさま、こんばんは。

奥日光の避暑旅行だったのですね。
涼しいそうで、お写真を拝見しまして気分だけでも涼しさを味わわせていただきました。

リフレッシュの後は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番・・・ベートーヴェンのピアノ協奏曲の中では一番、お気に入りの作品です。
カッチェンは未知の演奏家なのですが、拝読をしまして気になるピアニストになってまいりました。

数日来、初めて1957年録音のグールド&カラヤン、ベルリン・フィルを聴いています。
活気溢れるグールド、そして若きカラヤンのこちらも生き生きとして覇気に満ちた演奏に
久方振りに、心を揺るがされております。
カッチェンも・・・一度、聴いてみたくなりました。
lumino 様
コメント有難うございます。

> 奥日光の避暑旅行だったのですね。

出来れば海外へでも行きたいですけど、貧乏ヒマなしで(笑)。

> カッチェンは未知の演奏家なのですが、拝読をしまして
> 気になるピアニストになってまいりました。

ジュリアス・カッチェンは、メジャーレーベルであるデッカに数多くの録音を残している割には一般に知名度が今一つという感もありますが、彼は揺るぎないアイデンティティを聴き手に感じさせることのできる名ピアニストの一人だと思います。

> 1957年録音のグールド&カラヤン、ベルリン・フィル

ベルリンでの有名なライヴ録音ですね。グールドとしてはストレートな部類の表現ながら、おっしゃられるように若々しくて活気溢れるピアニズムだと思います。
こんにちは。
カッチェンのベートーヴェンのコンチェルト、私もよく聴いています。
第1番と第4番も大好きなのですが、最初に録音した第3番がテンポも安定して、清々しいロマンティシズムが感じられるので、ケンプ&ライトナーとあわせて好きな演奏です。
yoshimi様
初めまして、コメント有難うございます。

> カッチェンのベートーヴェンのコンチェルト、
> 私もよく聴いています。

本当にいい演奏ですね。ありきたりの表現で恐縮ですが、やはり知情意のバランスが絶妙に取れている点がカッチェンのピアニズムの大きな持ち味だと感じています。それに個々の打鍵が充実している点ですが、これにはデッカの(年代を考えると)優れた音質も追い風になっているように思います。

コメント

 
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