ゲルギエフ/ロンドン交響楽団によるラフマニノフの交響曲第2番


ラフマニノフ 交響曲第2番
 ゲルギエフ/ロンドン交響楽団
 LSO-Live 2008年ライヴ LSO0677
LSO0677

LSO-Liveより先月リリースされた、ワレリー・ゲルギエフ指揮ロンドン交響楽団の演奏によるラフマニノフ交響曲第2番のCDを聴きました。2008年9月のロンドン、バービカンホールでのライヴ録りで、例によってSACD仕様でのリリースです。

周知のように、ゲルギエフによるラフマニノフの2番には以前フィリップスからリリースされた、キーロフ歌劇場管弦楽団との録音があります。

438864-2
ラフマニノフ 交響曲第2番
 ゲルギエフ/キーロフ歌劇場管弦楽団
 フィリップス 1993年 438864-2

この旧録音の演奏は世評も高く、私の印象としても、くわしい感想は以前こちらに掲載済みですが、このラフマニノフの2番の数多い異演盤の中でも稀に見る名演ではないかと思っていますが、ただ音質が少しモコモコとして玉にキズかとも思っていました。

ですので、今回の新録音は何しろSACDですし、旧録音を遙かに上回る音質で、あの演奏が聴けるのかと、心躍る思いで演奏に耳を傾けました。

しかし聴いてみると、確かにSACD仕様の音質は優秀というのか、およそコンサートホールで聴く感触に近いのではないかとも思えるほどですが、肝心のゲルギエフ/ロンドン響の繰り広げるアンサンブル展開の方に今一つの物足りなさがあり、並の指揮者であればともかく、ゲルギエフにしては全体的に、いささか低回気味の演奏ではないかと思えなくもありませんでした。

SACDの高音質の利により、一つ一つの木管や金管の旋律などは素晴らしく克明かつヴィヴィッドに捉えられているのに、それらが集積した訴求力が大人しいというのか、全般にトッティの鳴動力が煮え切らない感があるのですが、それがどうも聴いていて音響が高域と低域にエネルギーが分散され過ぎて、密度的に中抜けという感じがしなくもなく、もしかすると、これはSACDの音質の弊害なのかもしれません。

いずれにしても、第1楽章の(16:10)あたりから再現部のクライマックスなど、ゲルギエフにしては随分と淡泊な印象で、旧盤とは随分ちがうなという気がしますし、全体としても、ここぞという時にフォルテの響きの熾烈さが伸び切らず、そうなるとラフマニノフの曲想から不可避的に由来するところの、ムード音楽然とした雰囲気、耳当たりの良さ、安逸な甘美さばかりが耳につき、聴いていて何だかカラヤンのマーラーみたいな演奏だなと思ってしまいましたし、とくに第3楽章は旧盤より1分以上タイムが伸びていますが、しかし、そのぶん甘ったるくなり、間延びし、密度も軽くなったような気がするのです。

以上、このゲルギエフ/ロンドン響のラフマニノフ第2は、ゲルギエフにしては、やや平板な演奏に終始したという印象を拭えず、私としては期待をはぐらかされた結果に帰着したというのが正直なところですが、それも演奏自体が平凡だと言うのならまだしも、もしか音質の弊に拠るところが大きいのではないかという可能性があり、そうなら尚更に残念な気がします。

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