ボロディン四重奏団によるボロディン、ストラヴィンスキー、ミャスコフスキーの弦楽四重奏曲集


ボロディン 弦楽四重奏曲第1番
&ストラヴィンスキー 弦楽四重奏のためのコンチェルティノ
&ミャスコフスキー 弦楽四重奏曲第13番
 オニキス 2009年 ONYX4051
ONYX4051

オニキスから先月リリースされた、ボロディン四重奏団の演奏によるボロディン、ストラヴィンスキー、ミャスコフスキーの弦楽四重奏曲のCDを聴きました。

収録曲はボロディンの弦楽四重奏曲第1番、ストラヴィンスキーの弦楽四重奏のためのコンチェルティーノ、ミャスコフスキーの弦楽四重奏曲第13番の3曲です。

このうちボロディンの弦楽四重奏曲第1番はロシア国民楽派ボロディンの代表作として知られると同時に、第1楽章の第1テーマ、このCDの(1:51)からの旋律に、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第13番の終楽章のメロディが借用されているなど、ベートーヴェンへの深いリスペクトが下敷きとされた作品として知られています。

またストラヴィンスキーの弦楽四重奏のためのコンチェルティーノは、1920年に作曲されたストラヴィンスキーの新古典主義時代の作品ですが、この曲は後年(1952年)に「12管楽器のためのコンチェルティーノ」へと編曲されています。

ミャスコフスキーの弦楽四重奏曲第13番は、彼の全13曲ある弦楽四重奏曲の最後の作品で、その死の前年1949年に作曲された、ミャスコフスキーの絶筆作品です。ミャスコフスキーは旧ソ連の作曲家の中では比較的に保守的な作風ゆえ、プロコフィエフやショスタコーヴィチといったあたりの作曲家ほど後世の評価は高くないようですが、ミャスコフスキー一流のフォーマリズムの中に浮沈するメロディのホットな魅力には傾聴すべきものが多いように思えます。

旧ソ連時代の1945年に結成されたボロディン四重奏団は、途中いくたびかのメンバー交代を経ながらも、現在活動中のカルテット団体の中では、世界で最も古いアンサンブルとして知られています。しかし結成以来のチェロ奏者であったヴァレンティン・ベルリンスキーが2008年12月に死去したことにより、団体の存続が危ぶまれていたところ、新たにウラディーミル・バルシンがチェロ奏者として加入し、新生ボロディン四重奏団として活動を続けることになりました。

このメンバー交代に伴い、1974年加入の第2ヴァイオリン奏者アンドレイ・アブラメンコフが現状の最古参メンバーということになるようですが、とまれ、新たなメンバー加わった歴史あるカルテット団体の、その本場ロシアものの新譜ということで、興味津々で演奏に耳を傾けてみました。

その演奏は聴いていて酔いしれるほどに素晴らしく、ボルディンはもちろんミャスコフスキーまでも含めて、この3曲が「ロシアの音楽」なのだなということが、聴いていて改めて実感されるような演奏というべきでしょうか。味の濃いハーモニーから繰り出される土臭いメロディの訴えかけの強さが何よりですし、朗々とメロディを歌いながら、ロシア音楽としての大きな流れ、起伏感とでも言うべきものが、緩急強弱の落差の大きな表現から堂々と押し出されているのです。現代の若手カルテット団体の、スマートなアプローチの演奏からすると、やや芝居がかった印象も付随すると言えばしますが、その点も含めて、作品が実に生き生きとした生命をもって描き出されていることに、驚きを禁じ得ませんでした。

そもそも現代において一つのカルテット団体が60年以上も活動を続けられるということ自体、奇跡的な偉業とも思えますし、そのあたりの深々とした伝統の力が何らかの形で作用して、このような圧倒的な演奏に集約されるのではないかと思えるのです。

それにしても、もし順調に行くのならば、そのうちショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲全集の3回目の録音なんて話が出ないとも限らないのではないでしょうか。いずれにしても、私としては新生ボロディン四重奏団の今後の動向に、ちょっと注目していきたいと思います。

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