アルテミス四重奏団によるベートーヴェンの弦楽四重奏曲第2番、第9番、第14番および第15番


ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第2、9、14、15番
 アルテミス四重奏団
 ヴァージン・クラシックス 1998年・2002年 6071020

6071020

ヴァージン・クラシックスから先月リリースされた、アルテミス四重奏団の演奏によるベートーヴェンの弦楽四重奏曲4曲(第2番・第9番・第14番・第15番)を収録したCDを聴きました。

これは同カルテットが1998年と2002年に録音したベートーヴェンの四重奏曲がCD2枚のセットとしてまとめられたもので、かつてアーツミュージックから発売されていた音源の、ヴァージン・クラシックスによる再発盤です。

そのアーツ盤は現在は廃盤で入手出来ない状態でしたので、これらの録音は私も未聴だったところが、先月ヴァージンから再リリースされたので購入し、さっそく聴いてみたのでした。

この4曲はいずれもアルテミス四重奏団がメンバー交代を経る以前の録音となり、現在の同カルテットのメンバーとは異なり、ヴァイオリン奏者にハイメ・ミュラーが、ヴィオラ奏者にフォルカー・ヤコブセンが、それぞれ名を連ねています。

アルテミス四重奏団について少し詳しく書きますと、設立は1989年とされますが、実質的な活動は1994年以降のようで、それまでケルンにおいてアルバン・ベルク四重奏団に師事、そしてアメリカでエマーソン弦楽四重奏団およびジュリアード弦楽四重奏団に師事し、十分な研鑽を重ねた上で満を持してデビューしたのでした。

ところが1998年に初めてベートーヴェンのカルテット2曲(第9番と第15番)をレコーディングした後、アルテミス四重奏団は活動を休止し、アンサンブル能力の一層の向上を期して、ウィーンにおいて再度アルバン・ベルク四重奏団のもとで研鑽を積んだのだそうです。

そして1999年に活動を再開、それに伴いベートーヴェンのカルテットの録音も再開し、2005年からはヴァージンとレコーディング契約し現在に至ります。

以上、前置きが長くなりましたが、ここでの4曲の演奏では、いずれも独特のスピード感のあるテンポから、アルテミスならではの贅肉を絞り抜いたような生々しさが導出するヴィヴィッドなハーモニーの肌合いが素晴らしく、例えば第15番の第3楽章の(3:39)の主題線など今まで聴いたことがないくらいの鮮やかさで奏されていて驚かされますし、聴いていて至る所にドキッとするような表情の強さがあり、その意味で、聴き慣れた作品が新しい姿で立ち現われたような新鮮な印象に事欠かない、そんな演奏です。

ただ、これらの演奏が先般ブログで取り上げたアルテミスの最新録音(6番と13番)のように、深いところでベートーヴェンの楽想に対して絶妙な照応を示しているか、ということになると、正直ちょっと留保を付けたくなるような気がするのです。

というのも、これらの演奏でアルテミスの敷設する表情の強さというのには、いずれも多少あざといような気配も聴いていて付きまとい、それらが外面的な特徴づけの地点から抜け出し切れず、従って新鮮ではあるものの聴き手の心を強く揺さぶる演奏たり得るには、いまひとつ訴えかけが弱い、ような気がするからです。

ただ、進境著しい現在のアルテミスの最新録音である6番と13番の新譜を聴いた後に、これら4曲の録音を聴いたために、相対的に印象が弱められたということもあるのかも知れません。いずれにしても、他のカルテット団体では容易に為し得ないほどに個性的かつ独創的な演奏であることは疑いのないところですし、ここまでの演奏を初録音のベートーヴェンで為すこと自体、驚異的とも思えました。

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