LFJ2010公演感想:ケオハネのアリア・コンサート&ポゴレリッチのショパン


・公演243(Cホール):
ヘンデルのアリア・コンサート
 マリア・ケオハネ [ソプラノ]
 フィリップ・ピエルロ [指揮]
 リチェルカール・コンソート

LFJ-243

演目:
①オペラ「ファラモンド」より「ふたつの風に翻弄され」
②オペラ「アルチーナ」より「ああ私の心よ」
③オラトリオ「復活」より序曲
④オラトリオ「テオドーラ」より「わが嘆きの暗闇で」
⑤オペラ「ジュリオ・チェーザレ」より「嵐の海で難破した小舟」
⑥オペラ「アグリッピーナ」より「胸さわぎが私を苦しめる」
⑦オラトリオ「メサイア」より「シオンの娘たちよ、大いに喜べ」
⑧オペラ「リナルド」より「涙の流れるままに」

今年のLFJで最初に聴いた公演ですが、いきなり素晴らしくて、あとで振り返っても、こと感銘度では今回の8公演の白眉というくらいの公演でした。

何といってもマリア・ケオハネのアリア歌唱が抜群で、その声質・歌唱力・演技力が、すごく高いレベルでまとまっていましたし、どのアリアも表情が活き活きと躍動するようで、聴いていてジーンとくるほどでした。

美しさと透明感とを併せ持った、惚れぼれするような声質。音程が少しもブレず、ポルタメントなしでサッと目的の音程に移行できる、見事な歌唱力。それに各アリアの役柄に成り切ったような迫真の演技力(⑤など本当にクレオパトラみたいでしたし)。

伴奏のピエルロ/リチェルカール・コンソートは、昨年のLFJでもバッハのミサ曲ト短調とマニフィカトを聴きましたが、何だか昨年よりも一段と響きの美しさに磨きが掛かっていたように思えました。昨年のLFJではバッハ・コレギウム・ジャパンやル・コンセール・フランセといった他のピリオド・アンサンブルの存在感が強かったので、相対的に目立たない感なくもありませんでしたが、今年は抜群の存在感でした。

・公演213(Aホール):
エルスネル 交響曲ハ長調
ショパン ピアノ協奏曲第2番
 イーヴォ・ポゴレリッチ [ピアノ]
 ゲオルグ・チチナゼ [指揮]
 シンフォニア・ヴァルソヴィア

LFJ-213

最初のエルスネルの交響曲については、感想は特にありません(正直どういう曲だったか記憶が薄れている、、)。

この公演では何といっても、今年のLFJの目玉ともいうべき鬼才ポゴレリッチの登場ということで、この前の週にサントリーホールで聴いたフィラデルフィア管来日公演での、あの凄い演奏が再び聴けるのかと、ワクワクして演奏に耳を傾けました。ところが、、、

率直な印象としてポゴレリッチのピアノは、どうも本調子とは思えませんでした。先週のサントリーでの表出力を10とするなら6くらい、しかしアンコールでは持ち直し8くらい、という風に思えました。

その理由ですが、まずサントリーホールのフィラデルフィア管来日公演で披歴された演奏が、ポゴレリッチの本調子であったとした上で、LFJでのポゴレリッチのピアノ演奏に関して私が感じた点を挙げますと、主に以下の3点です。

1.全般にフォルテッシモの訴求力が振るわなかった。ここぞという時にピアノが鳴り切っていないような印象を受けた。

2.ミスタッチが明らかに多かった。ことに第2楽章は聴いていて一体どうしたのかというくらいだった。

3.緩急の揺さぶりに関しても、いくぶんか手加減が加えられていたように思えた。

言い換えますと、前週のサントリーでの実演ではLFJでの実演に比べて、ここぞという時のフォルテッシモの訴求力が絶大で、全編ほぼノーミスと言える演奏で、緩急の揺さぶりも激烈の極みだったように思えるのです。

ただ結局、2以外は感覚的な話ですし、ホールの違いというのも大きいですし(キャパで2.5倍の差、残響の差となると計り知れない)、LFJでの私の席がステージから相当に遠かったことも大きく影響しているのかもしれないので、本調子でなかったと、一概には言えないかも知れません。

しかし、あの第2楽章のアンコールは、おそらく当初の予定にはなくて(あったとすると、公演の時間ワクの説明がつかないので)、あれはポゴレリッチが本演での不調を挽回すべく独断で弾いたのではないか、とも思えます。

そうでないとすると、サントリーでの実演では大家アルゲリッチの代役ということで、さすがにポゴレリッチとしても相当に気が張っていたと想像されるのですが、LFJでの実演では、例えばホールに家族連れも多かったのですし(そういう問題かどうかはともかく)、意識的にピアニズムに抑制が掛かっていたのかも知れません。

いずれにしても、残念ながらサントリーでの再現とはいかなかった、というのが偽らざる感想ですが、それでも演奏自体の醸し出す、あの尋常ならざる空気は、ポゴレリッチのピアニズムの凄さを聴き手に感得させるに十分過ぎるものであったことは紛れもなく、その点は聴いていて改めて驚嘆させられました。やはり凄いピアニズムだと思います。

コメント

 
やはりフィラデルフィアの方が完成度が高かったのですね。はらはらさせられる演奏家が少なくなった現在ではやっぱり「見もの」かと思います。第二楽章をもう一度やってくれるサービス精神もよろしかった。
コメント有難うございます。

> やはりフィラデルフィアの方が完成度が高かったのですね。

完成度もそうですが、なにより表出力において途方もない演奏だったと思います。ラ・フォル・ジュルネでは、ホールの影響もあり、あの造型の奇形性に今一つ表出力が伴い切らない歯がゆさを聴いていて覚えました。

> 第二楽章をもう一度やってくれるサービス精神もよろしかった。

あのアンコールは時間超過のため物議を醸したようですが、演奏自体は(本演よりも)素晴らしかったと思います。

コメント

 
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