ブリュッヘン/18世紀オーケストラによるバッハのロ短調ミサの新録音


J.S.バッハ ミサ曲ロ短調
 ブリュッヘン/18世紀オーケストラ
 Glossa 2009年ライヴ GCD921112
GCD921112

Glossaより先月リリースされた、フランス・ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラの演奏によるバッハのロ短調ミサの最新録音を聴きました。

2009年4月のワルシャワでのコンサートのライヴ録音で、合唱はカペラ・アムステルダム、独唱陣はソプラノがドロテー・ミールズとヨハネッテ・ゾマー、アルトがパトリック・ファン・ゲーテム、テノールがヤン・コボウ、バスがペーター・コーイという陣容です。

これはブリュッヘン/18世紀オーケストラのバッハ・ロ短調ミサとしては2回目の録音となり、1989年にフィリップスに録音した旧録音から実に20年ぶりの再録音ということになります。

その旧録音は私にとって長くバッハ・ロ短調ミサの愛聴盤のひとつだったこともあり今回の新録音には興味津々で、さっそく購入して聴いてみたところが、その演奏の醸し出すバッハの音楽の深々とした佇まいというのが筆舌に尽くし難いほどに素晴らしくて聴き終えて言葉もありませんでした。

このバッハ・ロ短調ミサにおけるブリュッヘン/18世紀オーケストラの演奏に対しては、第一級の完成度の高さとか磨き抜かれた響きの美しさとか、そんな浅薄な言葉では全く間に合わないくらいの、何か音楽の尋常ならざる生命力が全編に弛緩なく漲っているように感じられますし、そこには、この演奏に懸けるブリュッヘンの尋常ならざる気迫のようなものがヒシヒシと伝わってきて圧倒される思いですし、それが遂には音楽の核心にまで到達してしまったかとさえ思えるような、バッハ演奏としての一線を越えたかのような凄味、説得力、のようなものが聴いていて激しく胸を打つ、そんな演奏でした。

これは一体なんという演奏だろうかと深い感動のうちに演奏に耳を傾けていると、ちょうど昨年の同じ時期、同じようにバッハのロ短調ミサの最新録音に耳を傾けて今回と同じように深い感動に沈んでいた自分を不意に思い出しました。

それというのはミシェル・コルボ指揮ローザンヌ声楽・器楽アンサンブルによるバッハのロ短調ミサの最新録音で、ちょうど昨年の今頃の時期に聴いて大いに感動し、その感想をブログに書き、「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2009」において同じ顔合わせで予定されているバッハ・ロ短調ミサの公演を楽しみに待ちたい、と書いていたのでした。

その感想を改めて読み返してみると、私は次のようなことを書いていました。・・このコルボのロ短調ミサは、演奏手法としては近年まれにみるほどにオーソドックスなもので、この曲の演奏において主流の古楽的なアプローチも殊更に強調されてはいませんが、オーソドックスであるがため、演奏主体が作品に込めた真っ直ぐな情感が聴いていてダイレクトに感得されるような趣きがあり、いわく形容しがたいほどの素晴らしい余韻をもって全曲を聴き終えました・・

自分で書いたことながら、これを読んで少しビックリしました。というのも今回のブリュッヘン/18世紀オーケストラのバッハ・ロ短調ミサの新譜を聴いた私の印象と全く同じだったからです。

もちろんローザンヌのアンサンブルと違って18世紀オーケストラはピリオド・アンサンブルですが、この曲の演奏において主流の古楽的なアプローチが殊更に強調されてはいないという点では同じではないかとも思えます。どちらも自然体の構えからバッハの豊かな楽想の実りだけが、この上なく鮮やかに浮かび上がる、そんな演奏なのですから。

今回リリースのブリュッヘン/18世紀オーケストラのバッハ・ロ短調ミサの新譜は、編集ミスではないかと思える箇所も一つありましたが、演奏自体は圧巻であり、その演奏に対しては、多分どんなに言葉を尽くしても足りないとさえ思えるほどでした。

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