ケンペ/ミュンヘン・フィルによるワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第一幕への前奏曲


ワーグナー 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲
&モーツァルト ピアノ協奏曲第27番
&ドヴォルザーク 交響曲第8番
 ケンペ/ミュンヘン・フィル、グルダ(pf)
 スクリベンダム 1972年ライヴ SC004
SC-004

先週サントリーホールで聴いたミュンヘン・フィルの来日公演の、余韻の残っているうちにと思い、当夜のアンコール曲だったワーグナーの「マイスタージンガー」前奏曲の、ミュンヘン・フィルによる演奏を収録したCDに耳を傾けました。

このCDは2001年にスクリベンダムから復刻リリースされたもので、ルドルフ・ケンペ指揮ミュンヘン・フィルが1972年11月にデュッセルドルフで行った慈善演奏会のライヴ録音です。「マイスタージンガー」前奏曲の他にフリードリヒ・グルダを迎えてのモーツァルトのピアノ協奏曲第27番、それにドヴォルザークの交響曲第8番が収録されています。なお、このCDは現在、残念ながら廃盤のようです

そして、この演奏が先週ナマで聴いたティーレマン指揮の演奏の雰囲気に、同じドイツ人の指揮者ということもあり、おそらく近いのではないかという気がしたのでした。しかし聴いてみると、確かに近いのですが、また微妙に違うような気もするというのが率直な印象なのです。

ところで、やはりドイツ人の指揮者がミュンヘン・フィルを指揮しての「マイスタージンガー」前奏曲の録音としては、押しも押されぬ古典的名盤があります。

WPCC-4187
ワーグナー 管弦楽作品集
 クナッパーツブッシュ/ミュンヘン・フィル
 ウェストミンスター 1962・63年 WPCC-4187

ハンス・クナッパーツブッシュの指揮によるウェストミンスター盤です。こちらの方も聴いてみたのですが、このクナッパーツブッシュ盤のマイスタージンガーも、ケンペ盤のそれとは別の意味で、ティーレマンの実演とは近くもあり遠くもあり、という感じなのです。

まずテンポ感ですが、これは私の印象だとケンペ盤が先週の実演に似ていると思います。というのも、ティーレマンの披露したテンポは胸のすくような快速調で、これは11分を掛けたスロー型のクナッパーツブッシュ盤より、9分半で駆け抜けるケンペ盤の方に明らかに近いものだったからです。

しかし、これが重低音の押し出しというか、アンサンブル下声部の張り出しの強さということになると、当夜のティーレマンの披露したマイスタージンガーはケンペ盤よりも、むしろクナッパーツブッシュ盤のそれに近しい雰囲気をまとっていたような気がするのです。

そうすると乱暴な話、ケンペ盤のテンポ感とクナッパーツブッシュ盤の重量感を足して2で割ると、当夜のティーレマンのマイスタージンガーになるのか、みたいな気もするのですが、そうは多分ならないという気もするのです。

というのも、ケンペ盤での掛け替えのない躍動感と直截な高揚力、クナッパーツブッシュ盤でのデンと構えた巨大な音楽のスケール感は、もし各々のテンポ感やアンサンブルの重心を動かした場合、容易に霧散してしまうと想像され、要するに固有値というか、そもそも変数のような足し引きという概念に馴染まないように思われるからです。たとえミュンヘン・フィルという共通項をもってしても、、

そういうわけで、当夜のミュンヘン・フィルのマイスタージンガー前奏曲をCDで追体験するという目論見は、どうやら難しそうだというのが一応の結論でした。もちろんティーレマン自身がミュンヘン・フィルを振ってワーグナーのアルバムをリリースしてくれれば話は別かもしれないですが、それは既にフィラデルフィア管と録音していますし、もうすぐドレスデンにポストが移ってしまうことも含めて、ちょっと無理そうですね。

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