小澤征爾/ウィーン・フィルによるドヴォルザーク交響曲第9番「新世界より」


ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」
 小澤征爾/ウィーン・フィル
 小学館(デッカ) 1991年ライヴ SHWP-1
SHWP-1

小澤征爾がウィーン・フィルを振って1991年にライヴ録音したドヴォルザーク「新世界より」のCDを聴きました。

これは先月に発売された、小学館のCD付きマガジン「ウィーンフィル魅惑の名曲」創刊号の付属CDになります。

SHWP-1-2

他にアンドレ・プレヴィンの指揮で1993年に録音されたドヴォルザークのスラヴ舞曲第1・3・8・10・16番も併録されています。

この小澤/ウィーン・フィルの「新世界」は、それなりに有名な録音だと思うのですが、私は恥ずかしながら未聴でした。というのも、ウィーン・フィルの「新世界」のCDには既にクーベリック、ケルテス、ベーム、コンドラシン、マゼール、カラヤンと、それこそ著名な指揮者の録音が百花繚乱という状況にあるので、この上さらに小澤盤を聴こうという気持ちが湧かなかったからです。

しかし今回の創刊号のみ特別価格で安かったことと、金子建志さんの音楽エッセイ「ウィーン・フィルを聴く・まろやかな音色の秘密」というのが面白そうだったことから、軽い気持ちで購入してみたのでした。

それで何気なく聴き始めたところ、その演奏内容の素晴らしさに驚かされたのです。この「新世界」は、小澤とウィーン・フィルのコンビにおける、会心の演奏のひとつではないかとさえ思えましたし、こんな名演を私は今まで聴き逃していたのかと、軽く自己嫌悪に陥ったくらいでした。

第1楽章の序盤からティンパニの豪快な強打を伴う、大胆なくらいアクセルを踏み込んだ果敢な演奏展開が素晴らしく、アグレッシブに攻めるべきところは的確に攻め、それでいてメロディを強く歌わせるべきところは的確に歌わせる、そのあたりの手綱さばきも絶妙ですし、以降の楽章においても、ウィーン・フィルに下駄を預けるところは預けた上で、手綱を引き締めるところは確実に引き締める、そんな小澤のアンサンブル・ドライブが堂に入った感があり、終楽章のはち切れんばかりのパワフルな強奏展開などには、絶好調のウィーン・フィルならではの痛快な表現力が披歴されていて、聴いていて惹き込まれるばかりでした。

もっとも、この「新世界」においては、その演奏の魅力の大部分をウィーン・フィルという掛け替えのないオーケストラの性能と個性に依拠しているのかなという気も、正直します。というのも、この演奏のアプローチ自体は絵に描いたようにオーソドックスでもあり、そこに指揮者としての掛け替えのない色付けがあるのかというと、そのあたりは少々苦しいようにも思えるからです。

しかし、あのウィーン・フィルを、これほど本気にさせるということは、それが取りも直さず、小澤の指揮者としての類まれなる技量ということになるのかも知れません。いずれにしても、この「新世界」は聴いておいて良かったと思います。

そういえば、この小澤征爾の録音以後、ウィーン・フィルは現在まで20年くらいドヴォルザークの「新世界」を録音していないと思うのですが、もし録音がされるなら、この小澤盤をも凌ぐくらいの凄い演奏を期待したいですね。

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