引き続き、インマゼール/アニマ・エテルナによるベルリオーズの幻想交響曲


ベルリオーズ 幻想交響曲、序曲「ローマの謝肉祭」
 インマゼール/アニマ・エテルナ
 Zig-zag 2008年 KKC5074
KKC-5074

昨日の続きです。結局まとまり切りませんでしたが、、

このインマゼールの「幻想」においては、例えば第1ヴァイオリン9人という小編成のアンサンブルがノン・ヴィブラート奏法の上に展開するハーモニーを耳にすると、あたかも不純物が精錬されたダイヤモンドの原石のような感触の片鱗が伺われたりもするのですが、その肝心の音色自体が、随分とアッサリしていて、それゆえ新鮮な音楽の景色に耳をそばだたせられる前に、それが儚く消えてしまう、といった按配なのでした。

そもそも、ここでインマゼールの披瀝するアプローチが何というか独特で、全楽章とも徹底的なイン・テンポの歩調を崩さず、この作品の客観的な再現に徹するという、かなり覚めた目線が、聴いていて如実に伝わってくるのです。

それは例えばミュンシュの指揮に係る「幻想」のように、作品を自分の側へ強く引き付け、自己の主観に基づく濃厚な表現と激烈な情動をもって再現するというのではなく、むしろ反対に、自分から作品の方へ近寄り、その内部深くに入り込んで、そこから普通に演奏していたのでは、まず浮かんでこないような、繊細な色彩なりニュアンスなりを、集中力に満ちたアンサンブルの組上げから、まざまざと浮かび上がらせるという風なのですが、そこに浮かび上がる肝心の色合いというのが、どうにもアッサリとし過ぎていて、少なくとも私には、それにより何がしかの魅力を喚起させられるという瞬間が、さほどに訪れなかったのでした。

もっとも、このインマゼールの「幻想」は間の悪いことに?、かのミュンシュのパリ管発足ライヴの超絶的な「幻想」ライヴと、ほぼ同一のリリース時期に係ってしまい、私なども、かのミュンシュの「幻想」から受けたインパクトがあまりに絶大であったので、その反動から、こちらのインマゼールの「幻想」に対して、何か冷やかな印象を感じてしまうような心の働きがあったのかも知れません。

しかし、もう少し客観的に本CDを眺めると、私には音質に何か根本的な問題があるのではないか、という風にも思えるのです。というのも、本CDの音質は総じて奥行きに乏しく、聴いていて空間的な広がりを実感しにくい憾みがあり、果たしてピリオド・アンサンブルの精緻・精妙な音色のヒダを、この録音がどれだけ捉えているのだろうか、という疑問も聴いていて少なからず感じられたからです。

以上、このインマゼール/アニマ・エテルナの「幻想」は、何より作曲当時の様式に基づく作品の再現性という観点においては、間違いなく拝聴に値する演奏だと思われるのですが、肝心の演奏自体の魅力が事前に期待したほどでなく、雑ぱくに言って失望感が先立ったという感じでした。

もちろん、まだ聴き込みの浅い段階での話ですし、もっと繰り返し耳にすれば、この演奏の良さというものが私にも分かってくるのかも知れませんし(ただ、何回も繰り返し聴かないと良さの分からない演奏というのも、どうなのだろうという気もするのですが)、もう少し付き合ってみようと思っていますが、現状における私なりの正直な感想としては、以上のようなところです。

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