ヒコックス/ロンドン響によるヴォーン=ウィリアムズの交響曲第2番「ロンドン」(1913年初稿版)


「シャンドス30周年BOX」につき、これまで収録盤の感想記を順に24枚まで掲載しているのですが、今回はCD25を聴きました。

ANNI-25
ヴォーン=ウィリアムズ 交響曲第2番「ロンドン」
&バタワース 「青柳の堤」
 ヒコックス/ロンドン交響楽団
 2000年録音

CDジャケット面に「世界初録音」と書かれているので、最初は何だろうと思ったのですが、ここでのヴォーン=ウィリアムズ・交響曲第2番「ロンドン」の演奏は、どうやら「1913年初稿版による世界初録音」のようですね。

この「ロンドン」交響曲に関しては、1913年作曲以来3回の改訂が加えられていて、1954年改訂版がいわゆる「現行版」として広く用いられているところ、このヒコックス/ロンドン響による初稿の録音は、ヴォーン=ウィリアムズの遺族による特別の承認のもと、大英博物館に保管されていた初稿スコアに基づいて為されたものとされています。

この初稿版に対し、後年ヴォーン=ウィリアムズは改訂の度にカットを加え、最終的に54年稿に落ち着いたようなのですが、実際その54年稿が総タイム40分程度の規模であるのに対し、この1913年初稿版は総タイム1時間を要する楽曲規模なのです。

ちなみに、この曲の最初の改訂となる1920年稿を用いた録音としては、アンドリュー・デイヴィス/BBC響のテルデック盤が知られています。これは1920年稿を用いた数少ない録音です。

4509-90858-2
ヴォーン=ウィリアムズ 交響曲第2番「ロンドン」
 A.デイヴィス/BBC交響楽団
 テルデック 1993年 4509-90858-2

好い機会ですので、このデイヴィス盤の1920年稿と、本ディスクの1913年稿とを少し聴き比べてみたのですが、どうやら双方同一なのは第1楽章のみで、第2楽章以下に大きく改訂のメスが加えられていることが判りました。

例えば第2楽章は、ラヴェンダー売りの情景が始まる中間部のヴィオラのテーマが、デイヴィス盤では(4:54)から出ますが、ヒコックス盤では(6:44)からとなっていて、そこまでの旋律要素の多寡が明確に異なりますし、第3楽章に至っては総タイムがデイヴィス盤の8分強に対しヒコックス盤は16分強となっていて、改訂時にほぼ半分が刈りとられた計算になります。

1913年稿に対する全体的な印象としては、多分に冗長な側面も否定できないところで、交響曲というより連作交響詩というような雰囲気が勝る感じがしますが、少なくともヴォーン=ウィリアムズ特有の、抒情的な旋律展開の魅力に関しては、タイムスケールが上回るぶんだけ強調された形になっていると思います。

それにつけても素晴らしのは本演におけるヒコックス/ロンドン響のアンサンブルの充実度で、そのシンフォニックな厚み、音響密度、燃焼力など、いずれをとってもA.デイヴィス/BBC響のそれを大きく凌駕する水準にあると感じられました。このディスクの真価は、初稿版による稀少性よりも、むしろ演奏自体の良さにこそあるような気がします。

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