シャイー/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管によるバッハ・ブランデンブルク協奏曲全集


J.S.バッハ ブランデンブルク協奏曲全曲
 シャイー/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
 デッカ 2007年ライヴ 4782191
4782191

先般リリースされた、リッカルド・シャイー指揮、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏による、バッハのブランデンブルク協奏曲全集を聴きました。収録されている演奏は2007年11月、本拠地ゲヴァントハウスにおけるコンサートのものです。

シャイー/ゲヴァントハウス管というと、前回リリースされたメンデルスゾーンのアルバムは素晴らしい内容でしたし、それに昨年秋にサントリーホールで聴いた来日公演でも、ひとかたならぬ感銘を与えられたものですから、今回の新譜のバッハにも期待して、さっそく購入してみたのでした。

ところが、この演奏は正直、聴き終えて失望感が先立ちました。何より、表面的な完成度を超えたところにおける、演奏自体の訴えかけが弱く、前記のような私の予断からすると、一体どうしたことかと聴いていて不思議に思えるほどなのです。

そういう次第ですので、この演奏については、私自身あまり感じるものはなくて、ブログへの感想掲載もスルーしようかとも考えていたのですが、ちょっと引っ掛かることがあるので、敢えて取り上げてみることにしたのです。

というのも本CDは、演奏自体の良し悪しというのとは別に、どうも製品としてのプロデュース自体に問題があるのではないか、という風に思われるふしがあるからです。具体的には音質面と、ライナーノートの記載情報の御座なりさ加減から、そのような印象を与えられます。

まず音質ですが、デッカの録音にしてはソノリティの精彩が振るわず、とくに管パートを中心に高音の響きが全般に冴えない感じがします。全体的にアコースティックがフラットで、音場感に窮屈さが伺えますし、聴いていてマイクのフォーカスが甘いのではないかと思われることも度々でした。

そしてライナーノートですが、はっきり言って情報が少なすぎると思います。協奏曲6曲の各曲ごとの編成規模に関しての記載が無いというのは、廉価盤ならいざ知らず大手レーベルの新譜としては、少々お粗末だと言わざるを得ませんし、それに協奏曲第3番の第1楽章と終楽章の間に、ヴァイオリンのカデンツァが演奏されている(おそらくバイオリンパルティータ第2番の「シャコンヌ」の編曲かと思われます)のに、それについての言及が何も無いというあたりも、どうなのでしょうか。

この協奏曲第3番のカデンツァは、もともと原曲のスコアにはなく、演奏家の方針によりバッハの別の作品の緩徐楽章が演奏されることがあるのですが、例えば昨年リリースされた鈴木雅明/バッハ・コレギウム・ジャパンの新録音では、ここに「3台のハープシコードのための協奏曲」BWV1064の第2楽章が演奏されていましたし、同じく昨年リリースのガーディナー/イングリッシュ・バロック・ソロイスツの録音では、そこに無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番のグラーヴェ楽章の自由な編曲が演奏されていました。そして、そのことはBCJ盤・ガーディナー盤ともに各ライナーノートに明記されています。

要するに、このバッハのブランデンブルク協奏曲全集をリリースするにあたり、当然に記載されるべき情報が余りに抜けているのが私には引っ掛かるのです。これと上記の音質のことから、私には本CDのプロデュースに関して、製作者としての取り組みが少し投げやりというか雑というか、そんなスタンスが透けて見えるように思えてしまいますし、従って本当はもっと素晴らしい演奏なのに、その良さが十全に伝わらないだけなのかも知れないと、そんな風にも思えるのです。

詰まるところ、この新譜には直観的に何か違和感があり、いろいろ思うところを自由に書いてみたのでした。もちろん単に私自身が、この演奏の良さが分からないだけなのかも知れないのですし、何といってもバッハゆかりのオーケストラのバッハ演奏なのですから、もう少し付き合うつもりではいるのですが、少なくとも現時点での、私の率直な感想は以上のとおりです。

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