パリ管弦楽団の発足演奏会におけるミュンシュ指揮のベルリオーズ「幻想交響曲」とドビュッシー「海」


ベルリオーズ 幻想交響曲&ドビュッシー 交響詩「海」
 ミュンシュ/パリ管弦楽団
 アルトゥス 1967年ライヴ ALT182
ALT182

シャルル・ミュンシュ指揮パリ管弦楽団による、ベルリオーズの幻想交響曲とドビュッシー「海」のライヴ演奏が収録されたCDを聴きました。

これはアルトゥスから先週リリースされたディスクで、ここに収録されている演奏は、パリ管弦楽団の発足後、最初の公演となった1967年11月14日、パリ・シャンゼリゼ劇場でのコンサートのものとされています。

周知のようにパリ管弦楽団は、もともとパリ音楽院管弦楽団の発展的解消を受けて創設されたオーケストラであり、その初代音楽監督ミュンシュのもと、オーケストラとしての新たなスタートを切った、その記念碑的な第1回公演の演奏が本CDに収録されています。その幻想交響曲は伝説的名演として現在まで語り草になっているほどですが、肝心の当該公演の録音は、これまで一度もリリースされたことがなく、その実像を知る術はありませんでした。

その伝説の公演の録音が、なぜ今になって突如として日の目をみたのか、そのあたりの経緯は残念ながらライナーノートに何ら記載がないのですが、CD面にはINAのロゴが表記されているので、INA(国立フランス視聴覚研究所)に眠っていた録音テープが最近になって発見されたということなのでしょうか。

いずれにしても、あの伝説のパリ管発足演奏会におけるライヴ録音が聴けるというのは堪えられない喜びですし、私も飛びつくように購入し、その伝説の演奏に、さっそく耳を傾けてみました。

まずドビュッシーの「海」ですが、これぞまさに「ミュンシュ流」という感じの情熱的な感情に溢れた演奏で、この作品の性格を考えると、印象主義的な陰影のデリカシーよりも猛々しいパッションのうねりが支配的なあたり、聴き手の好悪を分けそうな気もするのですが、とにかく吹っ切れたようなオーケストラ・ドライヴの豪快ぶりに、聴いていて惹き込まれるばかりです。第2楽章(5:00)前後の火を噴くようなアッチェレランドといい、あるいは第3楽章(1:43)で豪烈を極めたティンパニの最強打が入る直前ミュンシュの豪快な唸り声が聴かれたり、とにかく全編に音楽の熱感が強烈な、ミュンシュならではのマグマのような「海」に圧倒させられます。

音質については、嬉しいことに極めて良好で、本当に40年以上も眠っていた音源かと驚かされるくらいです。リマスタリングのノイズ・リダクションのせいか、やや彫りが浅いかという感もありますが、解像度やステレオ感など、いずれも素晴らしく、往時のコンサートの臨場感を伝えるのに十分すぎるくらいのものだと感じました。

続いて、いよいよ伝説の幻想交響曲のライヴを聴いたのですが、これは率直に言って、聴いていて私自身ちょっと我を忘れるくらいに強烈な興奮が怒涛のごとく湧き起こるような、そんな演奏でした。

ここには、おそらくミュンシュ以外の誰もなし得ないのではないかというような、超絶的な演奏が刻み込まれていたのですが、その演奏自体の法外ぶりに加えて、この記念碑的な演奏会における、あの伝説的な「幻想」のライヴを、これほど良好な音質で耳に出来る圧倒的な喜びと相まって、聴き終えて言語を絶するくらいの絶大な余韻が残され、その感激のあまり聴後しばらく茫然とすることを余儀なくされるほどでした。

実は私は、今日この新譜を聴き終えた後、続いてミュンシュがパリ管を指揮してEMIに録音した、あの有名な同曲のスタジオ盤の方も聴いて、両演奏の異同等について調べてみようと思っていたのですが、この新譜を聴き終えた時点で、とてもそういう気分にならない自分に気が付きました。また後日にでもと思ってはいるのですが、少なくとも今日は、こんなに気持ちが高ぶっていては無理だなと思って止めたのでした。

ただ、そのミュンシュ/パリ管のEMIの「幻想」は私自身これまで幾度となく耳にしてきたCDでもあり、その印象を踏まえて思うに、今回リリースのパリ管発足演奏会での「幻想」は、あのEMI盤の超絶的な「幻想」すら、さらに一歩しのいだ地点での、それこそ極限的な演奏内容ではないかと思われてなりませんでした。

いずれにしても、このパリ管発足演奏会の「幻想」は、まさにミュンシュ渾身の超絶的演奏であり、熱演というも生ぬるい、それこそ指揮者の命が掛かっているのではないかというくらいの迫真を極めた演奏内容であり、これを聴く者に強烈に訴えかけ、その心を猛烈に揺さぶる、途方もない表出力といい、この演奏自体の記念碑的なドキュメントとしての意味合いといい、これはまさに「バイロイトの第9」クラスの歴史的名演と言っても過言ではない演奏だと私には思えました。

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