ヤンソンス/バイエルン放送響によるチャイコフスキーの交響曲第5番


チャイコフスキー 交響曲第5番
 ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団
 BrKlassik 2009年ライヴ 900104
900104

マリス・ヤンソンスがバイエルン放送交響楽団を指揮した、チャイコフスキー交響曲第5番のCDを聴きました。

これは先週、サントリーホールで購入したディスクなのですが、本来なら今月の下旬にリリースされるところを、ホールで先行的に販売されていたものです。

収録の演奏は今年の10月9日、ミュンヘン・ガスタイクのフィルハーモニーでの演奏会のライヴですので、かなりのスピードリリースになりますね。

ところでヤンソンス指揮のチャイコフスキー交響曲第5番のディスクには、既にオスロ・フィルとの有名な録音があるのですが、そのオスロ・フィル盤は、ちょうど私が今聴き進めている「シャンドス30周年BOX」収録盤の中に含まれていますので、この機会に聴き比べてみました。

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左が今回リリースの新譜、右がシャンドスの旧録音です。

まず今回の新譜を聴いてみると、全体的に遅めの安定感のあるテンポを持続させた、重量級のアンサンブル展開が素晴らしく、その圧倒的なダイナミック・レンジといい、バイエルン放送響のアンサンブルのズシリとしたバスのふくよかな量感といい、強奏時の圧し掛かるようなトッティの凄い質量感といい、すこぶる聴き応えのある、まさに重厚な感触のチャイコフスキーが披歴されています。

もっとも、これは聴く前からある程度予想された範囲の演奏であることも事実で、先日聴いた同じ顔合わせでのブルックナーの7番のCDや、先週の来日公演での実演の様子から、このチャイコフスキーもおそらくこういう感じだろうという私のイメージに、概ね沿った内容でした。

したがって、そのブル7のCDや先週の実演を聴いて感じた疑問点を、ここでも同程度に感じたのでした。つまり、ヤンソンスとしての主体的な表現付けがおしなべて大人しいという側面です。

続いて、オスロ・フィルとのシャンドス盤を聴いてみたのですが、こちらの演奏では、全体的に基調テンポがバイエルン放送響盤よりもひとまわり速くて、表情もずっとアグレッシブであり、響きの重厚感やアンサンブルの立体感などでは新譜に及ばないとしても、こちらの旧譜のほうが色彩的などぎつさやフレージングの鋭角性などが冴えている感じがあり、ひいては、ヤンソンスの能動的な表情形成の個性感が、よりくっきりと刻印されているような印象を聴いていて感じました。

つまり双方の演奏とも、ある面では素晴らしいのですが、ある面では物足りなくて、その足りない部分というのを各演奏がどうも相互に補完的に備えている関係にあるような、そんな気がします。

なぜそうなるのかについては、よく分りませんが、ヤンソンスがバイエルン放送響の統率自体に集中力を要し過ぎて、オスロ・フィルでの演奏で聴かせたような際立った個性感を演奏に付帯する余裕がないのかも知れないですし、あるいはバイエルン放送響のオケとしてのカラーを踏まえて、敢えてオスロ・フィルより穏健な表情形成を選択しているのかも知れません。

以上、このチャイコフスキーは名演だと思うのですが、それだけに惜しいなという気持ちも含めて、結論としては先週掲載したブル7のCDと、概ね同じ地点に落ち着いたなというのが率直な感想です。

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