スヴェトラーノフの1999年におけるBBC響客演ライヴ


スヴェトラーノフの1999年BBC響客演ライヴ
 スヴェトラーノフ/BBC交響楽団
 BBCレジェンド 1999年ライヴ BBCL4259
BBCL4259

BBCレジェンドから先月リリースされた、エフゲニー・スヴェトラーノフの1999年におけるBBC交響楽団への客演ライヴを聴きました。

これは同年10月28日、ロンドンのロイヤル・フェスティヴァル・ホールにおけるコンサートで、演奏曲は①ラフマニノフ 交響詩「死の島」②ラフマニノフ(レスピーギ編) 2つの「音の絵」③ムソルグスキー(ラヴェル編) 組曲「展覧会の絵」となっています。

スヴェトラーノフとBBC交響楽団との顔合わせというのは、たぶん正規盤としてはこれが初だと思うのですが、非正規盤としては、2002年にBBC響に客演した際のライヴであるチャイコフスキー・交響曲第1番「冬の日の幻想」がCD-Rでリリースされています。

ELS03310
チャイコフスキー 交響曲第1番「冬の日の幻想」
 スヴェトラーノフ/BBC交響楽団
 EnLarmes 2002年ライブ ELS03-310

上記のCD-R盤については別館の方に感想を掲載しているのですが、これはスヴェトラーノフの死去する直前期における名演として有名なものです。非正規盤なのに有名というのも変ですが、なにしろ演奏内容が圧倒的なので、そのように認知されます。

そのあたりの予断もあり、今回リリースの99年ライヴに対しても、期待して耳を傾けてみたのですが、ひととおり聴いてみた印象として、嬉しいことに3演とも並々ならない名演であり、上記02年ライヴにも肉薄すると思われるほどの充実感に満ちた演奏でした。

まず①から、スヴェトラーノフ最晩年の時期の、巨匠的なまでの音楽の威容が素晴らしく、全体で25分をかけた遅めのテンポをベースとし、粛々と、時に激烈の情熱を湛えてアンサンブルを牽引し、この作品としては破格なくらいの素晴らしい迫力とスケール感が導出されていて惹き込まれます。ただ演奏とは関係ないですが、終曲近くで音楽が沈静する(23:59)で、客席から大きなアラーム音がホールに鳴り響いているのですが、これはいささか耳障りでした。

②においても、相変わらず引き締まったアンサンブルの充実ぶりが際立っていて、レスピーギ編曲の豪奢な音響的魅力を存分に満喫させてくれるのですが、それでも①から続けて聴くと、いい意味で肩の力が抜けたような、親密な味わいもあり、外面効果一辺倒でない、音楽の内面の奥行きをも聴き手に感得させてくれる懐の深い演奏だと思います。

③ですが、やや遅めのテンポを基調としながらも停滞感のない音楽の流れから、BBC響のアンサンブルを巧みにドライブし、時にはイギリスのオーケストラらしからぬと思えるほどの濃密を極めた極彩色のハーモニーを描き出したかと思うと、時に澄み切って晴朗なハーモニーのパースペクティヴをこよなく印象づけられるというように、曲趣に応じた音響構築の切り替えの鮮やかさが見事です。

それにしても、これら各演奏での並々ならない充実ぶりは、スヴェトラーノフがこの時期に到達した人格的魅力、いわゆるカリスマ性にオケ側が強く揺さぶられた結果なのでしょうか。

いずれにしても、このBBCライヴは、単にスヴェトラーノフとBBC響の貴重な顔合わせの記録という以上に、演奏自体がすこぶるつきのものであり、嬉しい限りです。このような素晴らしいコンサートの録音が、公演からちょうど10年後に日の目を見たことを素直に喜びたいですし、この顔合わせでのさらなる音源の発掘にも期待したいと思います。

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