コンヴィチュニー/ドレスデン・シュターツカペレによるショスタコーヴィチの交響曲第11番「1905年」


ショスタコーヴィチ 交響曲第11番「1905年」
 コンヴィチュニー/ドレスデン・シュターツカペレ
 エーデル・クラシックス 1959年 23222CCC
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これは2002年にエーデル・クラシックスからリリースされた「アート・オブ・コンヴィチュニー」という11枚組のボックスセットで、1950年代から60年初めにかけてフランツ・コンヴィチュニーが残した録音がまとめて収録されています。収録曲はベートーヴェン、ブルックナー、ワーグナーといったドイツ音楽がほとんどですが、ショスタコーヴィチの交響曲も2曲収録されていて、それがゲヴァントハウス管との交響曲第10番と、ドレスデン・シュターツカペレとの交響曲第11番となっています。

このボックスセット中の一連の演奏の中でも断トツともいうべきものが、ドレスデン・シュターツカペレとのショスタコーヴィチ・交響曲第11番の演奏で、これは文字通り超絶的名演と言うしかない、そんな演奏です。

それについては、昨日掲載した読売日響の定期演奏会(サントリーホール 9/30)の感想の中で、「数年前、あるCDでこの曲を聴き、その演奏内容があまりに凄いので、この作品に対する私の見方が一変させられるという体験をした」と書いたのですが、そのCDというのが本コンヴィチュニー盤です。

昨日も書いたのですが、以前の私の印象だと、もともとこの作品は、ショスタコーヴィチの15曲の交響曲のうちでも、それほど重要視されない曲であって、もろに標題的で分かりやすい楽想を持つ、通俗的な音楽であって、詰まるところは例のジダーノフ批判を受けて体制に迎合したショスタコーヴィチの妥協の産物であって、少なくとも前作の交響曲第10番における深い思索性からすると、音楽としての底の浅い作品であると思っていましたし、要するに、私はこの曲を、同じショスタコーヴィチの交響曲第2番および第3番と、ほとんど同列に捉えていました。

しかし、この作品をコンヴィチュニー/ドレスデン・シュターツカペレの録音で聴くに及んで、必ずしもそう言い切れないような印象もまた、強く湧きました。だからといって、ショスタコーヴィチの15曲の交響曲のうちでも特筆すべき名曲とまでは言えないと思いますが、少なくとも、この交響曲第11番を交響曲第2番とか第3番あたりと同列に考えるのは無理だなと思うようになりました。

さて、このコンヴィチュニー/ドレスデン・シュターツカペレの演奏は、ひとえに第2楽章の表現力が超絶的であって、こと第2楽章の表出力に限定するならば、このコンヴィチュニー盤に匹敵する録音は、まず絶無だと思います。私の知る限り、唯一ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルのスタジオ盤が肉薄するのみですが、いずれにしても、一度このコンヴィチュニー盤で、この交響曲第11番の第2楽章を耳にしてしまうと、他の録音が軒並み生ぬるく感じられてしまうほどです。

そして、この交響曲の核心は第2楽章にあると私は考えます。この作品は第1楽章と第3楽章が楽想上の起伏や変化に乏しくて、それが場合によってはこの曲が凡作であるとの論拠を与えることにもなっているのですが、第1楽章はあくまで第2楽章の序奏、逆に第3楽章は第2楽章のエピローグとして捉えるべきで、したがって演奏全体が活きるも死ぬも第2楽章次第ということになります。

その第2楽章において空前絶後ともいうべき演奏を展開せしめたのが、このコンヴィチュニー盤に他ならないのですが、その第2楽章は、まず(1:52)近辺の異常な緊張感を始めとし、(2:46)からの破滅的な最強奏など、いずれもボリュームを高めに維持して聴く(これがかなり重要です)なら、音楽の恐ろしさに必ず震えがきますし、(6:42)あたりの猛り狂ったようなアンサンブルのうねりから、前半のクライマックスを激烈に形成するあたりの、凄まじい音響的迫力も完全に振り切っていて絶句させられます。

しかし、その楽章前半部に輪をかけて熾烈を極めるのが後半部であって、(10:41)を皮切りに後半部に突入しますが、そこではアレグロの急迫的なテンポをいささかも動かさずに、激烈を極める音響的な地獄絵図が展開されていて、もはや聴いていて言葉を失う、そんなレベルの演奏です。(12:28)あたりのトランペットの血飛沫のような色合いなど、この世のものとは思えないくらいの色彩を放ち、(13:17)からの最終局面(民衆への銃撃)においては文字通り阿鼻叫喚というくらいのもの凄さです。

私がクラシック音楽というジャンルに強く惹かれるのは、ひとつにこのジャンルが、他の音楽ジャンルにおいて耳にする可能性に乏しい、音響的なある種の極限状態をまま耳にし得るからなのですが、ここでのコンヴィチュニー/ドレスデン・シュターツカペレの手による前述の第2楽章の演奏は、その絶好の例証というべきものだと思います。

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