ガーディナー/オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティークによるブラームスの交響曲第3番


ブラームス 交響曲第3番、声楽作品集
 ガーディナー/オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティーク
 ソリ・デオ・グローリア 2007・08年ライヴ SDG704
SDG704

ガーディナーの運営によるソリ・デオ・グローリア・レーベルより、ガーディナー/ORRによるブラームス・プロジェクトの第3弾となるディスクが新たにリリースされましたので、聴いてみました。

今回の収録曲はすべてブラームス作品で占められ、①「私は角笛を苦しみの谷で鳴らす」(「5つのリート」作品41の1)②ハープは鳴り響く(「4つの女声合唱」作品17の1)③夜警「静かな胸の音」(「5つの歌」作品104の1)④もの憂い恋のうらみ(「13のカノン」作品113の13)⑤運命の女神の歌、そして⑥交響曲第3番が演奏され、最後に⑦悲歌(作品82)で締めくくられています。合唱曲ではモンテヴェルディ合唱団が起用されています。

このシリーズについては、昨年9月リリースの交響曲第1番を含むアルバム、続いてリリースされた交響曲第2番を含むアルバム、ともにその新鮮なブラームス像に驚かされるとともに、いずれもピリオドオーケストラによるブラームスのシンフォニー録音としては、紛れもなく画期的な成果であるという風に感じていましたので、今回の交響曲第3番を含むアルバムもさっそく購入しました。

それで今日ひと通り聴いた印象ですが、演奏自体の素晴らしさもさりながら、7つの曲が絶妙に配置されたアルバム構成がもたらす、音楽の深い味わいにおいても格別なものがありました。

まず①は無伴奏合唱曲なので、静謐にひっそりと始まるのですが、それが②③④と進むうち、管弦楽が徐々に厚みを増していき、そして⑤に到り、ほとんどシンフォニーかというくらいの壮大な管弦楽の展開を示す、その音楽の景色の推移が妙味たっぷりというか、まるで夜明けを望むように暗闇から徐々に光が差していき、光量が増え、ついに⑤において燦然たる光輝を帯びるまでの一連の流れに際し、あたかも一個の大曲を耳にしているかのような、強い求心力とスケール感を印象づけられ、聴いていて意外な視点での感動を与えられます。

それだけでなく、⑤の「運命の女神の歌」での、あの神々の行いを歌い上げる勇壮な楽想の余韻覚めやらぬうち、⑥の交響曲第3番に雪崩れ込むあたりや、その終楽章の、あの浄化を思わせる静けさが⑦の悲歌(作品82)の浄化的な楽想にスッと接続する、こういったあたりの音楽の繋がりが、有機性な関連性というのか、ある種の必然性を伴い響きてくる趣きがあり、このアルバム全体が単なる寄せ集めではなく、一片の壮大な叙事詩か何かのような、そんな風に感じられて実に面白く思いました。

ふつうブラームスの声楽曲というと、交響曲がメインのCDに取って付けたようにフィルアップされることが多いだけに、このガーディナー盤のアルバム構成には新鮮を極めたような感があり、結果これら一連の声楽作品の魅力と美しさをあらためて教えられたような気さえします。

以上、おもにアルバム構成上の感銘について述べましたが、演奏自体の素晴らしさも相当なものだと思います。

ここでの交響曲第3番の演奏では、まず第1楽章冒頭の第1テーマのくだりで金管をびっくりするほど抑制し、弦楽器のヴァイタリティを全面に押し出したバランスが披歴されているのが耳を捉えます。直前の「運命の女神の歌」が、ホルンを中心に金管楽器をこよなく強調したバランスとなっていただけに、その落差に驚かされましたが、別に奇を衒った感じはなくて、この自在なまでのオーケストラ・ドライヴは、むしろガーディナーの演奏ヴィジョンの帰結として感じられるものでした。

ORR管の充実度もあいかわらずで、第1楽章では、展開部のアジタート(5:57)あたりの驚異的なハイ・テンポのくだりでさえ整然として切れ味が鋭く、そしてキリリと引き締まったアンサンブル展開が描かれていて驚嘆させられますし、コーダの(9:53)あたりの最強奏においては楽章冒頭で抑えた金管を目いっぱい強奏し迫真の響きを生ぜしめ、その直後のアッチェレランドも激烈を極め、ここなどあまりの凄さに楽章を聴き終えて思わず嘆息を禁じえませんでした。

第2楽章以下も含めて、このガーディナー/ORRの交響曲第3番は、全体にピリオドアンサンブルならではのシャープでシリアスな響きの感興が豊かというだけでなく、他のオケからは容易に聴くことのできないまでに魅力的なソノリティとして昇華されていて、アルバム全体としての余韻の深さも並でなく、前2回のアルバム同様、素晴らしい成果が披歴されていると思います。これは今後も、繰り返し聴いていきたいCDです。

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