カラヤン/ベルリン・フィルによるベートーヴェンの7番とストラヴィンスキー「春の祭典」の78年ライヴ


ベートーヴェン 交響曲第7番
&ストラヴィンスキー 「春の祭典」
 カラヤン/ベルリン・フィル
 PALEXA 1978年ライヴ CD0531
PA0531

昨日はカラヤン/ベルリン・フィルによる、72年ロンドン公演でのストラヴィンスキー「春の祭典」のライヴ録音を聴いての感想を掲載しましたが、その中で度々言及した、78年スイス・ルツェルン音楽祭でのハルサイのライヴを収録したCDというのが本ディスクです。2004年にカナダのPALEXAレーベルからリリースされました。

このCDの収録曲はベートーヴェンの7番とストラヴィンスキー「春の祭典」で、ベートーヴェンの方は78年1月28日ベルリン・フィルハーモニーでの演奏会のライヴ、ストラヴィンスキーの方は同年8月31日スイスのルツェルン音楽祭における演奏会のライヴになります。

今日あらためて本ディスクを聴いてみましたので、その感想を以下に書きます。

ベートーヴェンですが、第1楽章冒頭の序奏部の強奏展開からして本当にカラヤンの演奏かというくらいの血湧き肉躍るような熱感に満ちていて、初めて耳にした時などは、これはカルロス・クライバーの演奏ではないのかと思ってしまったほどでしたし、主部以降もはち切れんばかりのヴァイタリティに溢れたアンサンブル展開の充実が一貫し、例えば(6:10)あたりの高弦の強烈なアクセントの強調など、なぜこれをスタジオ録音でやらないのか、不思議な気がするほどです。再現部からコーダにかけても、緻密さよりも豪快さを印象づけるような、胸のすくようなオーケストラ・ドライブが披歴されていて圧倒させられます。

第2楽章以降も素晴らしく、いずれの楽章も、とにかくカロリー満点といった風のアンサンブル展開であり、ことに終楽章の凄さは特筆的で、あのいつもの低カロリーなカラヤンは、一体どこに行ってしまったのか、聴いていて不可解な気すらしますが、いずれにしても、ここでの本気モードのベルリン・フィルが、カラヤンのカリスマに呼応して奏でる、その音響的な充実感には聴いていて実直に気持ちを揺さぶられる思いです。カラヤンのベートーヴェンでは感動できない、という人は存外多いのではないかと思うのですが、たとえそうでも、このライヴは分けて考えなければならないように思われます。

続くストラヴィンスキーの「春の祭典」ですが、これが先のベートーヴェンに輪をかけて強烈を極めた演奏です。

「春のきざし」冒頭のアルコの弦のスタカートが奏でる峻厳な迫力からしてスタジオ録音でのカラヤンとは一線を画した、野性的なまでの迫力が全開で、以降もここぞという時にアグレッシブに容赦なくガンガン仕掛ける、すこぶる攻撃的なハルサイとなっていて驚かされます。

このハルサイにおいては、アンサンブルを破綻なく仕上げて美麗な音響の絵巻を聴かせようというカラヤン美学とは、およそ無縁というくらい、破綻すれすれまでアンサンブルを追い込んでの極限的な展開となっていて、とにかく聴いていて耳を奪われる思いです。クライマックスでの荒れ狂う弦、断末魔的な金管、そして破壊的な打楽器の最強打。およそ、狂気とは無縁であるはずの指揮者カラヤンが、ここまで狂気を曝け出した迫真の演奏展開というのは、他にちょっと無いのではないかと、そんな気さえします。

この演奏は、おそらくベルリン・フィルのハルサイとしては空前絶後のインパクトがあり、本気のベルリン・フィルの恐ろしさが存分に伝わってくる録音ですが、それと同時に本気の?カラヤンの凄味がどれほどのものであったのかを垣間見ることのできる稀少な録音ではないかと思います。

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