メルクル/ライプツィヒ中部ドイツ放送響によるブラームスの交響曲第4番


ブラームス 交響曲第4番、ハンガリー舞曲集
 メルクル/MDR交響楽団
 アルトゥス 2008年ライヴ ALT166
ALT166

先月リリースされた新譜で、準・メルクルが手兵・MDR交響楽団(ライプツィヒ中部ドイツ放送交響楽団)を指揮したブラームス・交響曲第4番の演奏を聴きました。

これは2008年3月のライプツィヒ・ゲヴァントハウスでのコンサートのライヴ録音となっています。併録として同じくブラームスのハンガリー舞曲集より第3、5、9、19、21番の5曲が入っていますが、こちらはスタジオ録りのようです。

準・メルクルというと、私が初めてその実演に接したのは、2001年の新国立劇場でのワーグナー「ラインの黄金」になります。オケは東京フィルでした。私は2階R席の舞台寄りの位置から観ていたのですが、ここからだとオーケストラ・ピットでのメルクルの指揮姿が良く見え、しばしば舞台よりも彼の棒さばきの方に見取れたことを覚えています。曲線的な棒の動きが実に美しく、その所作にはおよそ無駄が無く、あたかもカルロス・クライバーを彷彿とさせる、その華麗な指揮の様子に、、、

そんなこともあってか、今回のMDR響とのブラームスのシンフォニーを聴いていて、なんだかカルロス・クライバーの演奏にどこかしら近い感じがするなと、そんな印象を少なからず感じました。

まず第1楽章冒頭の主題のメロディが、やや遅めのテンポをもって重厚に、しかし情熱的な色彩を孕んで奏でられる、その様を耳にした時点で、そんな印象がしました。楽章全体を通して最も驚嘆させられたことは、アンサンブルの弦パートを中心に、ズシリとした重量感としなやかな流動感との、見事な共存関係が常に絶えない点で、弦をすこぶる重厚にたっぷりと鳴らしながらも、生き生きとしたフレーズの伸縮性を少しも排斥せず、音楽の流れに淀みや停滞がなく、聴いていて凄い求心力を感じさせる演奏です。

MDR響の弦パートのみずみずしい音彩も特筆的で、そのフレージングが発する混じり気のないシックな美しさと深いコクが素晴らしく、ドイツ伝統の色彩を堅持しつつ、そこに現代的に洗練された潤いをもたせたような響きというのか、あまり上手く言えないのですが、とにかく惹きつけられます。

ただ、弦パートの充実ぶりに比し、管パートが必ずしもそれに拮抗していないのが少し残念です。特に金管パートが全般にウィークポイントのようで、例えば第1楽章(5:00)からのホルンのフォルテ・フレーズなど、マルカート指定があるのにいかにも弱く、弦の豊潤な強奏の厚みに半ば埋もれてアップアップという風ですし、同じようなバランスは他にも幾つか見受けられるのですが、なにしろ弦の充実ぶりが目覚ましいだけに、これに管が拮抗していたらさぞかし、という思いも残りました。

それにしてもメルクルの指揮ぶりは第2楽章以降もやはり見事なもので、第3楽章などは冒頭からかなり大胆なハイテンポを披歴し、中盤まで一気呵成に聴かせていて息もつかせないくらいですし、終楽章も、聴いていて彼独特の無駄のない流麗な棒の運びが目に浮かんでくるような、すがすがしく、それでいて濃厚な音楽の流れが聴かれ、そのスリリングな共存関係を最後まで存分に堪能させられる、そんな演奏でした。

聴き終えて、このブラームスは確かにカルロス・クライバーの演奏に似た雰囲気をどことなく孕みつつも、最終的にはやはり準・メルクルの個性が確として刻印されたブラームスだなという結論に帰着するものでした。また、MDR響との相性の良さという点でも並々ならないものがあるような気がします。いずれにしても、今後もこのコンビの演奏にはちょっと注目してみたい気になりました。

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