ヒルデガルト・ベーレンス死去


ワーグナー 楽劇「ワルキューレ」全曲
 レヴァイン/メトロポリタン歌劇場管弦楽団
 グラモフォン 1987年 423389-2
423389-2

ドイツの名ソプラノであるヒルデガルト・ベーレンスが東京都内の病院で死去されたというニュースが、昨日報道されました。享年72歳とのことです。御冥福をお祈りします。

追悼の意を含めて、今夜は上記レヴァイン/メトのワルキューレ全曲盤を取り出し、聴くことにしました。もっとも全幕は時間的に聴けないので、第2幕の後半と第3幕全部、つまりベーレンスの歌うブリュンヒルデを中心に聴きました。

やはり同じブリュンヒルデでも、例えばニルソンとは色々な点でずいぶん違うな、というのが率直な印象ですね。傑出したワーグナー・ソプラノの名にふさわしい、キリッとした凛々しさの光る歌唱を披歴しているのですが、ニルソンのやや人間離れした歌唱に比すると、ずっと人間的で、女性的な感情表出の豊かさ、多様なニュアンスの使い分けなど、ドラマティックなのに知的な雰囲気を常に纏っている点が、ベーレンスならではのブリュンヒルデなのだなと、あらためて認識させられたように思います。

できれば、実演で聴きたかった歌手なのですが、日本では遂にオペラの舞台に立たなかった人でした。

ただ、私は一度だけ、ベーレンスの歌うワーグナーを生で聴くチャンスがありました。それは2003年2月に東京文化会館で開催された「オペラ・ガラコンサート」と銘打たれた催しで、以下はその時のチケットです。

2003-2-13

これは10人の世界的オペラ歌手を一堂に集め、それぞれの持ち歌を披露するという趣向のオペラ・コンサートで、その出演予定の10人のひとりにヒルデガルト・ベーレンスの名前がクレジットされていました(詳しくはこちらに記載されているとおりです)。

ところが、当日ホールに行ってみると、ベーレンスは体調不良のためキャンセルとの告知がありました。結局、ベーレンスの代役にはエヴァ・マルトンが招聘され、コンサート自体は当初の予定どおり行われました。

このコンサートのトリには、「ワルキューレ」第3幕冒頭の「ワルキューレの騎行」の場面を、6人の女性歌手が歌うという趣向があり、その6人というのがギネス・ジョーンズ、エヴァ・マルトン、アレッサンドラ・マーク、カラン・アームストロング、アグネス・バルツァ、アンナ・トモワ=シントウというとんでもなく豪華な顔ぶれで、後にも先にもこんな凄い「ワルキューレの騎行」を耳にしたことはなく、これを文化会館の最上階で聴いていて頭がクラクラする感じがしたのを覚えています。

そんなことを、ベーレンスの歌うブリュンヒルデを聴きながら、ふと思い出しました。

今にして思うと、あそこでベーレンスが聴けなかったのが残念ですね。あの6人の歌唱は確かに圧倒的なものでしたが、あそこに「本職」のワーグナー・ソプラノのベーレンスがいたら、さらに、、、という思いも残ります。

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