ヨッフム/ベルリン・ドイツ響によるブラームスの交響曲第1番


ブラームス 交響曲第1番
 ヨッフム/ベルリン・ドイツ交響楽団
 ヴァイトブリック 1981年ライヴ SSS0098
SSS0098

オイゲン・ヨッフムがベルリン・ドイツ交響楽団を指揮したブラームスの交響曲第1番のライヴ録音が新たにリリースされました。1981年6月、ベルリン・フィルハーモニーでのライヴ収録です。

ヨッフムの指揮によるブラームスの1番の録音には、スタジオ録音だけで3種類もありますが、その最後のものである、以下のロンドン・フィルとの録音は並々ならない名演でした。

TOCE13481
ブラームス 交響曲第1番
 ヨッフム/ロンドン・フィル
 EMIクラシックス 1976年 TOCE13481

今回の新譜は、その5年後のライヴで、同じように名演が期待できるとの思いから購入してみました。

聴いてみると、第1楽章冒頭部からアンサンブルの充実感が素晴らしく、ティンパニの刻む強打音などロンドン・フィル盤と比べても明らかに冴えがありますし、(2:33)あたりの最強奏などは音響的に振り切れた感じがして凄いと思いました。

主部以降も屈強な構成感を印象づけるテンポをベースに、響きのぎっしりとした密度感と凝縮力が超一級ですが、聴いていて何より嬉しかったのは、ロンドン・フィルとのスタジオ盤において物足りないと感じた、バスの充実感が十分に引き立っていることで、これにより言わば鬼に金棒というのか、とにかく真にドイツ的な迫力感に満たされたブラームスが披歴されていて聴き惚れるばかりです。

中間の2つの楽章も、木管の音色の冴え、バスのコク、アンサンブルの味の濃さ、いずれもロンドン・フィルとのスタジオ盤をさらに一歩凌いだ地点で高度なまとまりを呈していて、本当にドイツ的な音楽の味わいというか、何の奇も衒わない、オーソドックスなアプローチなのに、音楽が聴いていて体内にグングン浸み込んでくるような、そんな感じが聴いていて新鮮でした。

終楽章も圧巻というべきで、ここではヨッフムの棒のもと、さらに一段と充実の度を増したアンサンブルの鳴動力が、実に峻厳な表情のブラームスを形成させていて惹き込まれました。多少フレージングのミスが耳につくところもありますが、テンポの緩急に拠らずにずっしりと厚ぼったいハーモニーの充実感には聴いていて惚れぼれしますし、ことにコーダなど、どんなにテンポが速まってもアンサンブルが薄く流れることがなく、全体を通してヨッフムの強力なオーケストラ統制力が、純粋な音楽の迫力そのものを、圧倒的な説得力を持って音化せしめていて、聴き終えて充実し切った余韻の残る、そんな演奏でした。

ロンドン・フィル盤との対比にも少し触れますと、今回の新譜はライヴの一発録りゆえに、ところどころにミスが聴かれ、少なくとも完成度という観点ではロンドン・フィル盤には及ばないと思います。とくに第3楽章の第50小節(1:16)で、高声(木管)とバス(低弦)の線が一拍ずれているのが気になり、最初はヨッフムの解釈なのかなとも思ったのですが、同じところをロンドン・フィル盤で聴くと全然ずれていないので、やはりミスのようですね。

逆にロンドン・フィル盤より明らかにアドヴァンテージと思われるところは、オーケストラ自体の特性を別とすると、やはりライヴならでは燃焼感に溢れた演奏展開ということになると思います。例えば第1楽章の再現部突入場面、(9:50)からトッティを突き抜けて響き渡るトランペットの壮観なこと、ロンドン・フィル盤を大きく凌駕していますし、ティンパニの強打音なども今回のライヴの方が明らかにパリッとしていて、ことに終楽章での音楽の高揚力に大きく拍車を掛ける役割を果たしていたりなど、聴き比べてみて総合的にロンドン・フィル盤よりも一歩深い感銘を覚えるものでした。

以上、このベルリン・ドイツ響とのライヴは、細かい傷はあるにしても、その内容的充実度において、ヨッフムとしてもおそらく会心のブラームスではないかと思われますし、また今日ではもう滅多に聴けないような、ドイツ本場の雰囲気を満面にたたえたブラームスを堪能できた点でも、大満足の一枚でした。

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