キルシュネライトのソロとケムニッツ・ロベルト・シューマン・フィルによるメンデルスゾーンのピアノ協奏曲全集


メンデルスゾーン ピアノ協奏曲全集
 キルシュネライト(p) ベールマン/ケムニッツ・ロベルト・シューマン・フィル
 アルテ・ノヴァ 2008・09年 BVCC40006-7
BVCC40006-7

先月にリリースされた、マティアス・キルシュネライトのピアノ・ソロと、フランク・ベールマン指揮ケムニッツ・ロベルト・シューマン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏による、メンデルスゾーンのピアノ協奏曲全集を聴いてみました。

以下の4曲がCD2枚に収録されています。
①ピアノ協奏曲第1番
②ピアノ協奏曲第2番
③ピアノ協奏曲ホ短調(ラリー・トッドによる補完完成版)
④ピアノ協奏曲イ短調。

ショップでCDを物色していた折に見つけたものですが、最初は、メンデルスゾーンのピアノ協奏曲全集で2枚組なのは不思議だなと思って手に取ってみたところ、通常の2曲のピアノ協奏曲に加えて、第3のピアノ協奏曲である未完のホ短調の協奏曲が補完完成版として収録されていました。それが上記③で、このアルバムが世界初録音とされます。

ちなみに④のピアノ協奏曲イ短調は、正確にはピアノと弦楽オーケストラのための作品で、メンデルスゾーン13歳の時の習作的な雰囲気の残る作品です。

さて、本ディスクの目玉ともいうべき③のホ短調の協奏曲ですが、これはメンデルスゾーンの未完作品のひとつで、1842年に起草されながら、あの有名なホ短調のヴァイオリン協奏曲の作曲のために中断し、そのまま未完に終わった作品ということです(3楽章のうち2楽章と終楽章の移行部まで作曲され、終楽章が未完)。そして、本CDの解説によると、「この未完作品のスケッチにはそのヴァイオリン協奏曲と明らかに共通する楽想が伺われ、途中からヴァイオリン協奏曲に移行していったものと考えられている」とも書かれています。

それで聴いてみると、確かにそんな感じがします。例えば第1楽章の(2:29)からの第2テーマの音形はヴァイオリン協奏曲第1楽章の第2テーマにかなり似ていますし、(4:39)から弦で大きく奏でられるメロディなども、ヴァイオリン協奏曲第1楽章の第1テーマを彷彿とさせるものです。

未完の終楽章に関しては、このCDではヴァイオリン協奏曲の終楽章がそのまま流用されています。当然、ここでは本来のヴァイオリン・ソロのパートがピアノに置き換えられて演奏されています。

印象ですが、まあ終楽章に関してはちょっとムリヤリという気がしなくもないのですが、2つの完成楽章に関しては、音楽的にもかなり傾聴させられる内容で、埋もれさせておくには、ちょっと勿体ないような作品ですね。もし終楽章が完成されていたなら、もしかメンデルスゾーンの代表作ということにもなっていたのかも知れないですし、いずれにしても、メンデルスゾーンの生誕200年の今年にこうして日の目を見たのは意義のあることではないでしょうか。

第1・第2のピアノ協奏曲も含めて、キルシュネライトのピアノ・ソロは音立ちの綺麗なタッチといい、流暢にして淀みないフレージングの流れといい、安心して音楽に身を浸すことのできるものでした。経歴を見ると、師事したピアニストとしてアラウ、マイセンベルク、ゲルバー、ペライヤと言った名前が並んでいますが、その中ではペライヤのピアニズムにどこか近しさがあるような、そんな気がしました。

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