尾高忠明/読売日響のコンサートの感想


昨日の尾高忠明/読売日響のコンサート(サントリーホール 7/17)の感想です。

オーケストラは「フィンガルの洞窟」と「スコットランド」では10型編成、ヴァイオリン協奏曲では8型編成で、いずれも対向配置でした。

前半の「フィンガルの洞窟」、後半の「スコットランド」、ともに速めのテンポを主体に、小気味よいリズムの流れに乗って、音楽が淀みなく進められ、各パート間の均衡が概ね理想的に保たれたアンサンブルのバランスも含めて、尾高忠明らしさの良く伺われる、いわゆる「実質的な」演奏だなという印象を聴いていて感じました。

構えを拡げない端正な造形展開、強奏時においても繊細なダイナミクスの処理、弱奏時においても明快なアーティキュレーションの刻み分け、いずれひとつとっても、聴き手の意表を突くような刺激性とは無縁である反面、音楽生来のロマンティズムが十分に語り尽くされた表現となっていて、それが当たり前のように、ごく自然な音楽の佇まいとして奏でられ、それがために聴き終えてすがすがしい余韻の残る、そんな演奏でした。

それは特に後半の「スコットランド」に顕著で、音楽の一面を強調するよりも、さまざまな要素の均衡を大事にした演奏であるがゆえの味わい深さ、そんなものが潤沢に感じられる演奏だったと思います。

ヴァイオリン協奏曲における戸田弥生のソロは、そのエリザベート王妃国際コンクール第1位という肩書からすると、技巧的には全体にかなり大人しい印象を受けましたが、テクニックの切れ味というより、むしろ弾力感に富んだしなやかなボウイングから導出される、フレーズラインの心地良い起伏感が聴いていて魅力的であり、多少の細部のキズは有ったものの、聴き終えて満足感が大きく勝った演奏でした。

読売日響のアンサンブルに関しては、1月の上岡敏之、4月のカンブルラン、6月の下野竜也、そして今回の尾高忠明と、いずれもハーモニーの色調が微妙に相違していて、面白いと思いました。今回のがもっとも無色調で、イギリス風の色調というのか、清潔にして澄んだ音色と透明感の豊かな響きが印象的でしたし、それは無論メンデルスゾーンの音楽に対し良く調和したものでした。

感想は以上です。何かいろいろ書いてしまいましたが、いい暑気払いになりました。

しかし、例のサントリーとキリンの経営統合の件は、やはり気になるところです。ここ十数年来、私がコンサートを聴きに足を運んだ回数において、サントリーホールは都内のホールの中でもダントツなので、、、

昨日はやや悲観的な意見を書きましたが、願わくはそれが私の思い過ごしであらんことを、、、

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