テンシュテット/ロンドン・フィルによるマーラー交響曲第6番「悲劇的」のEMIスタジオ盤


マーラー 交響曲第6番「悲劇的」
 テンシュテット/ロンドン・フィル
 EMIクラシックス 1983年 CC30-9059-69
CC30-9059-69

おとといはテンシュテット/ロンドン・フィルのマーラー6番・83年ライヴについての感想を掲載しましたが、テンシュテットとロンドン・フィルはこの曲を同じ83年、EMIにスタジオ録音していますね。そのEMI盤を久しぶりに聴いてみました。

表現様式としては、今回の新譜である83年ライヴでの演奏と大体に同じですが、さすがに音質的にはこちらのスタジオ盤の方がずっと良くて、細部までくっきり鮮明に録られているので、ノイズレベルの高いライヴ盤で聞き苦しい弱奏時の表情なども手に取るように分かる感じがします。

ハーモニーの色合いもすこぶる鮮やかで、こうして改めて耳にすると、弦・金管はもちろんのこと木管パートにおいてさえ甘さを排したような峻厳な威圧が伝わってきて圧倒される思いです。例えば第1楽章提示部の114小節からのフォルテ・モチーフや展開部の162小節からのフォルテッシモ・モチーフなど、ライヴ盤以上に烈火的な音彩が展開されていて驚かされます。

それではこのスタジオ盤の演奏の方が先のライヴ盤より感動的か、というと、必ずしもそうではないというのが率直なところです。むしろどちらが感動的かと聞かれれば、ライヴ盤の方だと答えると思います。

確かにこのスタジオ盤は、演奏の完成度や音質面においてライヴ盤を大きく凌いではいますが、しかし聴いていてライヴ盤を耳にした時ほどには表情に隔絶的な印象が伴わず、スタジオ録りだからか、どうも構えているようなところがあり、少なくともライヴ盤での赤裸々なまでのアンサンブルの色合いから表出される極限的緊張度から計るといまひとつの物足りなさも残ります。

とは言っても、それはあくまでライヴ盤と比べての話であり、かのライヴ盤と比べなければ名演であることに疑いの余地はなくて、およそ凡庸な表現とは一線を画した、稀代のマーラー指揮者テンシュテットの演奏手腕を、十分に堪能させられる演奏です。

ところでテンシュテットは、この時期EMIに数々の録音を残していますが、そのうちシューベルトやシューマン、ブルックナーなどの交響曲ではベルリン・フィルを振り、マーラーなどではロンドン・フィルを振っています。もし、このマーラーの6番がベルリン・フィルだったらどうだったか、ちょっと想像をかき立てられるところです。

コンディションにも拠りますが、ベルリン・フィルのオーケストラ性能と、その潜在的なポテンシャルを余すところなく引き出せたなら、、、おそらく同曲の録音史上に残るような演奏となっていたのでしょうね。

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