カリツケ/ケルン放送響及びクラングフォルム・ウィーンによるラッヘンマンの「慰め」と「コンチェルティーニ」


ラッヘンマン コードウェルのための祝砲、慰め、コンチェルティーニ
 カリツケ/ケルン放送交響楽団、クラングフォルム・ウィーン、ブルック&ロス(guitar)
 KAIROS 2005・06年 12652KAI
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ラッヘンマン作品の意欲的な録音を継続している墺KAIROSレーベルから、新たにラッヘンマンの3作品を収録した2枚組のアルバムがリリースされたので購入してみました。

収録曲は①2人のギタリストのための「コードウェルのための祝砲」②16人の投票人と管弦楽のための「慰め」③コンチェルティーニの3曲で、このうち②は本ディスクが世界初録音のようです。

①の「コードウェルのための祝砲」は1977年作曲のギター・デュオ曲で、スペイン戦争で戦死した詩人クリストファー・コードウェルの詩が2人のギタリストにより朗唱される(2:28)からの部分を挟んで、ギターというよりほとんど電子音さながらの強烈な耳当たりが全編に充溢する音楽です。ラッヘンマンの作品群の中では比較的有名なもので、特にギター愛好家の間ではかなり知られた作品のようです。

②の「慰め」の世界初録音は本ディスクの目玉とも言えそうですね。これは1960年代作曲の「慰めⅠ」と「慰めⅡ」の2曲を取り込んで5部形式に発展させた作品で、大編成のオーケストラとテープ音と声楽ヴォーカル(投票人)との対話形式で音楽が進められていくものです。

声楽に関してはその大部分が息音と断片的なフレーズとで満たされ、大オーケストラの特殊奏法が繰り出す嵐のような音響展開とあいまって、その耳当たりは激烈というほかなく、まさにラッヘンマンの60年代の前衛精神剥き出しの頃の研ぎ澄まされた表現意欲を下敷きとした、聴いていて奈落に引き摺りこまれるような、もの凄い音楽です。

③の「コンチェルティーニ」は2005年のルツェルン音楽祭でアンサンブル・モデルンにより初演された作品で、そのアンサンブル・モデルンによる録音も既にリリースされています(EMSACD001)。

これはラッヘンマンのオーケストラ作品としては2009年現在で最終のものですが、円熟というよりむしろ②に負けず劣らずの表現主義的な傾向が強く出ていて驚かされます。

ここでのヨハネス・カリツケ指揮によるクラングフォルム・ウィーンの演奏は見事ですが、SACD仕様によるアンサンブル・モデルンの録音には若干およばない気もします。というのも、この曲は実演ではアンサンブルのメンバーが演奏会場に分散して演奏を行うため、その音響感の伝達の度合いという点で、やはり空間的プレゼンスに勝るSACD盤の音質に軍配があがるからです。

とはいえ演奏自体はアンサンブル・モデルンに引けを取りませんし、その対抗盤として充分傾聴に値する演奏だと思います。

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