「世界のオーケストラ名鑑387」について


音楽之友社より、「世界のオーケストラ名鑑387」という本(下記写真左)が刊行されました。

2009-06-24

これは先週末に書店で見かけて購入したものですが、音楽之友社のサイトによると、この本は同社の1993年刊行の「世界のオーケストラ123」(上記写真右)の完全改訂版と銘打たれています。また同サイトには、『従来の刊行本は「メジャー」を中心に、取り上げるオーケストラの数も、国際的な知名度や、日本でもなじみの150から200団体ほどであった。本書はあらゆる国、地方を羅し紹介することで、世界の主要なオーケストラの情報が入手できる』と書かれています。

確かに、この「387」という数字はすごい数で、少なくとも改訂前の「世界のオーケストラ123」の3倍以上という計算になりますし、さらにその掲載団体も「現在活動中」の「常設」のプロ・オーケストラに絞られているようです。つまりサイトウ・キネン・オーケストラのように常設でない団体や、フィルハーモニカ・フンガリカのように現在活動していない団体は、この387の数字には含まれていません。

このオーケストラ名鑑は、これほど多数のオーケストラの情報を掲載している点で画期的ともいえそうですし、編纂に携わった方々の功労も讃えられて然るべきものだと思います。

しかしながら、ことオーケストラの選定コンセプトに関しては、ちょっと解せないものを感じました。

まず、この名鑑には以下のオーケストラ団体が載っていません。

①ロシア・ナショナル・フィル(ロシア)
②ル・コンセール・フランセ(フランス)
③リチェルカール・コンソート(ベルギー)
④ローザンヌ器楽アンサンブル(スイス)
⑤ジャパン・シンフォニア(日本)

一応お断りしておきますが、私は別にこの名鑑のアラを探そうと思って非掲載の団体名を無理やり捻出したわけではなく、この5つの団体はいずれも、私自身がこの直近2ヶ月の間に実演に接して、各々にひとかたならぬ感銘を受けた、個人的に感慨深いオーケストラにほかならないものです。

上記5つの団体は、確かにメジャーとは言い難い面もあり、敢えて387の中に含めなくとも良いという考え方も有り得るところですが、その場合、387の中に含まれている以下の団体との兼ね合いが引っ掛かります。

⑥カラカス・フィルハーモニー管弦楽団(ベネズエラ)
⑦メデジン・フィルハーモニー管弦楽団(コロンビア)
⑧シャム・フィルハーモニー管弦楽団(タイ)
⑨マカオ管弦楽団(中国)
⑩キンバンギスト交響楽団(コンゴ共和国)

上記の5つの団体は現状、来日経験もCD録音も無く、少なくとも日本においては圧倒的にマイナーなオーケストラ団体です。しかもこれらはパッと見て目についたものを挙げただけで、⑥~⑩の他にも、おそらく相当数掲載されているはずです。

つまり解せない点というのは、⑥~⑩の類の団体を相当数載せておきながら、①~⑤を載せないというあたりの考え方というかセンスが、私にはちょっと理解しかねる、ということです。

もちろんこのあたりの考え方は人それぞれですし、私などがここで異議を唱えても詮無いことでもありますが、実演を踏まえての印象を言わせていただくなら、①~⑤はいずれも世界のメジャー・オーケストラと互角に抗し得る実力とポテンシャルを備えた団体で、特に②と⑤に関しては、或いは世界に2つとさえ無いような素晴らしい個性を有する団体ではないかと思っているところです。

以上、少々生意気なことを書き連ねてしまってすみませんが、要するに個人的に思い入れのあるいくつかのオーケストラの名前が本名鑑における387の中に見られないことに、ちょっと寂しいものを感じたと、そういうことでした。

コメント

 
ご参考までに一言。
昨日「キンシャサ・シンフォニー」とタイトルされたキンバンギスト交響楽団についてのドキュメンタリー映画を観てきました。これはドイツのBerlinareで紹介された映画です。 この楽団は全くの素人楽団で、貧困生活をしながらも、音楽が好きで、楽器もなければ自分たちで作ったり、代用品を見つけたりしてベートーベンの第9などを演奏するという 、実に感動する映画でした。。。。この映画が日本でも上映されればと願ってずっと朝からインターネットで探してみたのですが、どこにもみつからずでした。寄付金が集まったら音楽学校を作りたいというのが指揮者(失労パイロット)の夢です。涙ぐましい話です。
Ariko Kauppert様

貴重なコメントを有難うございます。

おそらく「キンバンギスト交響楽団」で検索なされて、拙ブログに辿り着かれたものと思慮しますが、コメントなされた私の記事は、キンバンギスト交響楽団を含む⑥~⑩のオーケストラを載せるべきでないという趣旨では決してありませんので、誤解なきよう念のために申し上げます。

ただ正直、くだんの本の記載内容の意義に、少々疑問を感じたのは事実です。もし今回コメントいただいたような有機的な情報が書かれていたなら、かの本に関する私の印象も大きく違っていたと思います。

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