パーテルノストロ/ロイトリンゲン・ヴュルテンベルク・フィルによるブルックナー交響曲全集


ブルックナー 交響曲全集
 パーテルノストロ/ロイトリンゲン・ヴュルテンベルク・フィル
 メンブレン 1997~2006年ライヴ 232766
232766

これは今月、突如としてリリースされた超廉価ボックスセットのブルックナー交響曲全集で、ロベルト・パーテルノストロの指揮、ロイトリンゲン・ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団の演奏により1997年から2006年にかけてドイツのヴァインガルテン・バジリカ大聖堂で行われたブルックナー全曲チクルスのコンサートがライヴ収録されています。

この超激安ぶりは既に話題になっているところですが、私も都内の量販店で1700円で販売されていたものを入手しました。このセットはCD11枚組なので17000円でもまだ安いくらいだと思うんですが、、、

もちろん安く買えるぶんには文句も無いですが、正直この価格には、本当にいいのか?と思ったのも事実ですね。

さっそく第1番から、番号順に第4番まで聴いてみました。

値段が値段だけに正直ちょっと不安でしたが、フタをあけてみると、演奏内容、音質ともにしっかりとしていて一安心でした。むしろ、なぜこんな価格設定にしたのかが不思議なくらいです。

オーケストラのソノリティは明るい基調の響きやしっとりとした美しい音色を感じさせる上質のトーンで、残響レベルは全体的に高めとはいえハーモニーがダンゴ的に混濁するようなことはなく、確かに若干、細部の見通しが弱いシーンもあることは否めないとしても、そのアンサンブルのふっくらと芳醇な音響感はすこぶる心地よく、パーテルノストロの正攻法の指揮ぶりもブルックナーの音楽の美感を仮借なく描き出していて、少なくともそのあたりの美感に富んだ音響展開に関しては聴いていて実直に惹き込まれるものでした。

ただ、いささか物足りないと感じた点も2つほどあります。まず、全体にブルックナーの音楽の構造美に対しては、前述したような音響美の確立度から計ると、いまひとつ突き詰められていないように思われる点で、総じてハーモニーが立て込んでくる部分になると響きの組み上げがいささか雑に流れる気配があります。例えば交響曲第1番の終楽章(2:00)あたりのアンサンブルの雑然とした感じなどがそうで、もちろんライヴ一発録りという制約は大きいとしても、構造美的にはやや緻密さを欠くような印象も聴いていてそれなりに感じました。

もうひとつの点ですが、全体にオーケストラの高声パートは弦・管とも非常に良く鳴っている反面、意外にバスの響きが薄く、音色もさらりとした感じで、少なくとも質感的にがっちりとした感触がさほど振るわず、ここぞという時の質感的な集約もいまひとつ万全ではないような、そんな印象をところどころ感じました。

あと付け加えるなら、交響曲第2番の第1楽章(11:53)からの金管コラールなどに聴かれるように、必要以上に管が全面にでしゃばり過ぎる局面が少なからず耳につきます。ただ、その良し悪しは微妙で、一概には言えないとも思いますが、、、、

これまで聴いた4枚(第1~第4)の中でのベストは、第4番「ロマンティック」です。2番からスタートして3番を経て、本ブルックナーチクルス3年目となるこの4番ではアンサンブルのこなれ具合、充実感、完成度などいずれも高いレベルでまとまっていますし、交響曲第1番のそれよりは響きに雑然とした感じが意外に少なく、パーテルノストロの指揮、ロイトリンゲン・ヴュルテンベルク・フィルの響き、いずれもプラス面が万遍なく演奏の前面に発揮されていて、音楽自体の魅力に率直に浸ることができる演奏だと思います。

ちなみに、この一連の録音がドイツの大聖堂でのコンサートのライヴ収録であることは先に書きましたが、ここでの交響曲第3番の演奏の、第3楽章の(5:42)あたり、ゴーン、ゴーンと、大聖堂の鐘の音と思われる響きが聴かれます。このあたり、同じように大聖堂の鐘の音が演奏中に聴かれる、朝比奈/大阪フィルの聖フローリアンでのブルックナー7番ライヴを、聴いていて彷彿とさせられました。

第5番以降はまだ未聴ですが、また機会があれば感想を書き込んでみたいと思います。

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