アルディッティ四重奏団によるラッヘンマンの弦楽四重奏曲全集


ラッヘンマン 弦楽四重奏曲全集
 アルディッティ四重奏団
 Kairos 2006年 12662KAI
12662KAI

先週木曜日のラッヘンマンのオーケストラ作品の公演ですが、オペラシティ・コンサートホールの客席は、ざっとみて7・8割は埋まっていて、その予想外の盛況ぶりにちょっとビックリしました。というのも、2003年の「書」世界初演の時は、サントリーホールがガラガラに近い状態だったからです。

しかも先週火曜日にオペラシティ・リサイタルホールで行われた、ラッヘンマンの室内楽作品コンサートに到っては、なんとチケット完売だったそうです。

私は室内楽作品コンサートの方は行きませんでしたが、この日に演奏されたラッヘンマンの弦楽四重奏曲第3番「グリド」に関しては、この作品の日本初演となった2004年の公演(アルディッティ四重奏団来日公演)をトッパンホールで聴きました。以下はその時のプログラムです。

2004-06

この時もホールはガラガラではなかったですが満席とは言えない状態だったと記憶しています。それが先週の公演はチケット完売ですから、やはりここ数年でラッヘンマンの知名度というか人気が飛躍的に上昇したのではないかと思われます。

ラッヘンマンの音楽には独特の吸引力があり、その楽想は極めて難解で、現代音楽の最先端を行くものでありながら、その革新的とも言える響きの斬新さと、それに付随して感覚に訴えてくる力が凄くて、聴いていて何か根元的な音楽の力を感じ取れるような、そんな気になる不思議な魅力があります。おそらくそのあたりの魅力が現代の多くの聴衆の感性を惹き付けているのではないかと、そんな気がします。

CDの話に移りますが、本ディスクはラッヘンマンの弦楽四重奏曲全集(もちろん2009年現在における暫定的全集です)で、昨年購入したものです。

収録曲は弦楽四重奏曲第1番「グラントルソ」、第2番「精霊の輪舞」そして第3番「グリド」の3曲。このうち第3番「グリド」はアルディッティSQに捧げられた作品です。

第1番「グラントルソ」は70年代初頭に作曲されたラッヘンマンの前衛意欲剥き出しの作品で、例えば(5:00)近辺に聴かれるノコギリでギリギリ擦っているかのような猟奇的な響きなど、全編に弦楽四重奏離れした斬新かつ熾烈な音響展開が充溢し、聴いていてひたすら圧倒させられます。

第2番「精霊の輪舞」は80年代後半に作曲された、弓に圧力をかけないで奏するフラウタート奏法に焦点の当てられた作品で、第1番「グラントルソ」での熾烈さこそ影を潜めるかわりに特殊奏法自体の音響的異常性をくっきりと顕現させた、この世のものとも思えない響きの表出が連続します。

第3番「グリド」は21世紀初頭に作曲された作品で、アルディッティSQによる演奏を想定して書かれているだけに、特殊奏法の効果を極限まで推し進めたような超難技巧の作品になっています。と同時にラッヘンマンのある種の円熟をも強く感じさせる作品で、第1番「グラントルソ」の、この世のすべてを破壊するかのような音楽のエネルギーに対比すると、楽想的にはかなり丸い感じもします。そのぶん成熟した音響展開の醍醐味に満ちた、ラッヘンマンのカルテット作品におけるひとつの到達点、そんな感じの曲です。

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